『アポカリプスの砦』や『我妻さんは俺のヨメ』の作者・蔵石ユウ先生が原作を手がけ、イナベカズ先生が作画、水谷健吾先生が原案を担当した話題作。突然謎の施設に収容され、生きるか死ぬかの非日常に突然放り込まれた人々が、襲い来る巨大生物から逃走しながら施設の謎に迫っていくパニックホラー漫画です。『彼女を守る51の方法』『ハカイジュウ』『バイバイ人類』等の作品が好きな方にもおすすめです。
あらすじ
温暖化の影響で、人間の居住可能地区が1000分の1にまで激減してしまった近未来。 伊江は、友人のカズとともに、学校からバスでの帰宅途中、突然何者かが車中にまいた催眠ガスで眠らされてしまう。しばらくして目を覚ますと、目の前で冷凍された人々が次々に裁断されていく衝撃の光景を目にする。自身が見知らぬ施設に拉致された事を知り、職員に連れられた部屋を見回すと、そこには天井から垂れ下がったチューブを流れる液体を無我夢中で吸い続ける醜く肥えた人々の姿が。その中には友人カズの姿もあった。
登場人物・キャラクター
伊江
華奢な体格で前髪を中分けにした高校生。カズとは同じ高校のクラスメイトで仲良し。 ファーストフード店のチキンヤングナゲットが大好物き。将来画家になる事を夢みている。気弱な性格でナツネや山引にいつも押されがちだが、窮地の場面では機転が利く、気丈な精神の持ち主である。瞬間記憶能力を持っており、一度見た物や背景を映像として覚え、描写する事ができる。友人のカズを連れて施設からの脱出を目指す。ナツネ、山引と行動を共にする。
カズ
黒髪短髪、背が高くて体格も良い高校生。伊江とは同じ高校のクラスメイトで仲が良い。 両親と祖父母の5人家族で生活していたが、最近の温暖化の影響で、祖父母が熱中症により亡くなってしまう。以来気象学者を志す。 施設に拉致されてから、謎の甘い液体を飲んでしまった事が原因で、思考能力が低下し、急激に肥満体型になってしまう。伊江とナツネ、山引と行動を共にする。
ナツネ
伊江が施設で出会った青年。黒髪で切れ長の目が特徴的。 伊江とカズが拉致される3日前に山引とともに施設に連れてこられた。 細身の体で身体能力が高く、巨大生物に対して恐れず対処する強い精神力を持っている。特殊な出生から言葉のコミュニケーションが苦手で、しばしば暴力的になってしまう一面があるが、施設に収容されている被験体に対して憐れみを見せたり、伊江と拙いながらも交流しようとする場面から優しい心根の持ち主と言える。とある理由で施設に固執している。
山引
伊江が施設で出会った青年。長い髪を後頭部で1つに束ね、中性的な顔立ち。細身でメガネをかけている。 伊江とカズが拉致される3日前に山引とともに施設に連れてこられた。 知的好奇心が強く、施設の液薬や巨大生物に興味津々。 ナツネの無茶な性格や行動を面白いと思っている。 男女問わず妙な所で興奮する変態気質。しかし物腰の柔らかさからか不思議と人間的魅力があり、彼に惹きつけられる人間が多い。
小倉(おぐら)
施設の天井裏に隠れていた男性。貧弱な体型にボサボサの長髪、長い髭を蓄えた眼鏡の男性。 伊江達が巨大生物に襲われた時ピンチを救う。 元は「職場が消える」「妙な生き物がいる」といった噂の絶えない施設の機密を暴くため、職員として潜入したルポライターだった。しかし、巨大生物により眼前で人間たちが平然と捕食されていく光景を見てしまい、耐えられずにその場から逃走してしまう。以降は恐怖で脱出することもできず、天井裏に潜んでいた。長い潜伏生活のおかげで施設内の機密情報や構造などを熟知している。 しかし長期に渡る孤独な潜伏期間の影響で性格が歪んでしまい、言葉をスムーズに話す事が出来ない。また、絵で描いた女性を裕子と呼び、あたかも実在するかのように接し、時には裕子になりきって伊江達と会話をする。
見どころ
(1)リアリティーのある絵
巨大生物が動く様子、登場人物の表情描写や擬音の表現がとても緻密に描かれており、読者も登場人物達と共に恐怖に直面している気持ちになります。特に巨大生物が次々と人間を捕食していくシーンは描写のリアリティーも相成り、“逃れられない”という絶望感に飲み込まれそうになります。
(2)謎が謎を呼ぶ展開!職員が恐れる”あの方”とは?
主人公伊江は、友人のカズと学校からの帰宅途中に突然最悪な非日常の事態に巻き込まれてしまいます。眠らされ、起きて最初に目に飛び込んだ情景が冷凍された人間! しかも次々と冷凍人間が解体されていくという状況に、伊江同様読者も愕然とします。なんの説明もないまま容赦無く襲い来る巨大な芋虫や不気味な様相の人間。 そんな異様な環境で、職員達が口にする「あの方」とは一体誰なのか?そもそも何故こんな所に連れてこられたのか?ここは何処なのか?謎が謎を呼ぶ展開が続き、読み進めれば一層の恐怖が待っている事を知りつつ、ページをめくる手が止められません。一刻も早くこの地獄から逃れる術は無いかとページをめくるうちに、物語に引き摺り込まれてしまうのが本作の魅力です。
(3)登場人物達の個性
本作では物語が進むにつれ、登場人物達それぞれのキャラクターやその背景が明らかになっていくのが魅力です。 伊江は見たもの・背景を瞬時記憶、描写する“瞬間記憶能力”を持っていますが、この能力が施設から生きて脱出する為にどのように役立つのかが見どころです。 また、伊江が「一刻も早くこの施設を出よう」と発言した際、ナツネは「やるべき事がある」と言い、直ぐには脱出しようとしません。ナツネのやるべき事とは?それに至る事情とは? その他にも山引や施設職員等、それぞれ登場人物達の個性や隠された秘密が物語により深みを与えています。
(4)施設にいる生物や収容されている人間の異様さ
本作は施設にいる巨大生物や収容されている人間達の描写の不気味さも魅力の1つです。どんなものが施設に存在するのかいくつかご紹介します。 巨大生物 成長により姿を変え、成体はカマキリのような姿をしている。成長過程も虫そのもので、芋虫からサナギを経て羽化する。宇宙から突如飛来した地球外生命体で、人間より優れた頭脳を持っている。また、繁殖能力が非常に高い。主食は人間で、特によく肥えた人肉を好む。 性殖種 施設に収容され生殖力を増強された男女達。男性は興奮剤を打たれた影響で大柄で筋肉質な体型をしている。頭髪が無い。女性は催淫剤を投与され、一様に髪が長く、乳房が発達している。また、排卵誘発剤により一度に3つ子、4つ子を身籠もる事ができ、中には18歳で20人出産した女性もいる。投与される薬が強力な為、24時間発情した状態を維持し、廃人になるまで子作りをさせられている。 増殖種 驚異の再生能力を持つ、品種改良された特殊な人間。中国の想像上の怪物「視肉」の様に、肉を取っても取っても元に戻る。巨大生物たちの胃袋を満たすため施設で研究されていた。中枢神経が損傷しない限り、何度でも再生し続ける事ができる新人類。未だ完成した固体は無かったが…。
(ネタバレ)クイーンの正体は一体?
本作の仲でも一際目立った異様さを放っている生物がいます。幼虫を何百匹もかきあつめて作った巨大な球のような謎の生命体、その正体がクイーンです。クイーンは地球外生命体の嬢王蜂的存在で、最も知能が高いといわれています。この地球外生命体はすべてクイーンから孵化するため、物語の中でも重要な役割を果たしています。 地球外生命体の絶滅を試みる伊江たちがどのようにして戦うのかも物語の見どころとなっています。
最終回は打ち切り?
ネット上では食糧人類の最終回が打ち切りなのではないかという憶測が広まっています。 その理由には、物語の壮大さの割に巻数が少ないことがあげられます。食糧人類は人間を主食とする地球外生命体がテーマのストーリーです。宇宙規模で物語が進んでいくスケールさとは裏腹に全7巻で完結したことに驚いた読者も少なくはないようです。 しかし、本作の結末は非常に綺麗にまとまっており、続編も刊行されたことから打ち切りだったとは考えにくいでしょう。
続編のあらすじ
続編である『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』では、伊江たちの物語が終わった数年後の世界が舞台となっています。 かつては力に従わせ人類を捕食しようと試みた地球外生命体たちでしたが、実は他の作戦も考えていたのでした。それは人類を服従させ自ら喜んでその身を捧げる世界を作るというものでした。彼らは長い年月をかけようやく実現したのが、「天人」といわれる存在に身を捧げる権利がある者が最も名誉だという考えが浸透した地球でした。 ある日そんな世界に疑問を持ち始めた主人公・天沢 大輝(あまざわ ひろき)たちの物語です。 自ら望んで食糧となることを当たり前としている狂った世界観が新しく、こちらも非常に面白い作品となっています。
まとめ
如何だったでしょうか。『食糧人類』は絶対的に食べる側の存在であった私達人間が、食べられる側に回ってしまった恐怖を描いた作品です。 グロさのあまりトラウマになってしまう人いるのではないかと思われる本作。 リアリティーのある巨大生物や施設の設定は「もし自分がこんな地獄に巻きこまれたら」と読者につい想像させてしまう説得力があります。圧倒的支持を得て累計300万部を突破した本作は一読の価値ありです。
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