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【ネタバレ注意】人間の欲望と本性を描く『ゴールデンゴールド』この先に待つのは、楽園か、それともーー。

【ネタバレ注意】人間の欲望と本性を描く『ゴールデンゴールド』この先に待つのは、楽園か、それともーー。

「聖☆おにいさん」「とんがり帽子のアトリエ」などの作品が並ぶ「モーニング・ツー」で掲載中の『ゴールデンゴールド』。作者の堀尾省太先生の代表作は『刻刻』(単行本全8巻)。マンガ大賞2011にノミネートされてます。不気味な表情でひときわ気になる存在“フクノカミ”の奇妙な魅力を中心にご紹介します。

2019/3/12更新 | by dokusho 編集部

  • ゴールデンゴールド(1)
    ゴールデンゴールド(1)

    『ゴールデンゴールド』とは

    その土地や集落で言い伝えられる風習やジンクス、そしてこの作品のターニングポイントとなる“フクノカミ”の存在。不気味な表情は一定を保ち、だんだん愛くるしくもなってくるその異形の正体は!? “フクノカミ”を中心に、人間の欲に溺れて変化していく様がリアルに描かれています。 「外天楼」「ももえのヒップ」など、登場人物が全力で生きている中で、どうしてもフフッ。とならざるを得ないシュールなミステリー作品が好きな方にもオススメです。

    あらすじ

    ーあんな夢もこんな夢も全部、叶えてくれる。ー

    「福の神」伝説が残る寧島に住む早坂琉花は、想いを寄せている及川が中学卒業後に大阪に引っ越してしまうことを聞き、どうにか島に残ってもらえる方法がないかと悩んでいた。
    ある日、海岸で見つけた奇妙な置物を持ち帰った琉花は、及川が大阪に引っ越さないための願掛けをして、山の中の祠に置く。その直後、彼女の目の前に奇妙な形をした人間でもない人形でもない何かが現れた。
    恐ろしくなった琉花は、乗ってきた自転車で全速力で逃げた。その奇妙な異形は自転車に負けないスピードで走って追いかけてきて、琉花の自転車の籠に飛び乗ったが、琉花がそのまま海岸の防波堤に自転車だけを突っ込ませ、その反動で奇妙な異形は海に落ちていった。

    数日後、海に落ちたはずの異形が琉花の家である早坂商店に客として迎え入れられており、そのまま居着いてしまう。 その後、「フクノカミ」と呼ばれることになった異形の力によって早坂商店は繁盛していくが、その力によって琉花の周りの人々は金への欲に当てられてしまい、次第に正気をなくしていく。

    登場人物

    主人公:早坂 琉花(はやさか るか)

    周囲の人間から寄せられる感情を波長として過剰に汲みとって反応してしまう敏感な中学1年生。
    それが原因で、相手を値踏みしているように見られることもあり、福島の学校で馴染めず、寧島の祖母の家で2人暮らしをしている。転校した学校の及川に恋心を抱いている。

    フクノカミ

    海岸に打ち捨てられていた、人形のような異形の物体。早坂琉花により拾われる。拾われた当時は干からびていて独特のヌメリがあり、琉花に洗剤で磨かれた際に左腕を折られる。処理に困った琉花は山の中の神社に持ち込み、祠に祀ってみた。

    その直後、その異形が自意識を持って動き出す。寧島の外からやって来た琉花や黒蓮、青木にはありのままの姿に見えるが、寧島で生まれた人間には、差し障りのない人間の姿に見えており、騒動になることはない。
    居着いた場所、店などを繁盛させる効果があり、早坂商店は、この存在によって大きく栄えることとなった。 一方、身近な人物の人格に干渉する能力を持っており、早坂町子の表情から性格まで豹変させていく。

    早坂 町子

    琉花の祖母で早坂商店と、自宅を利用した民宿の経営を行っている。
    琉花が拾ったフクノカミの力によって人格が変えられてしまい、商売が繁盛する一方、金の為には手段を選ばなくなっていく。
    寧強会を結成するなどして、強引な手腕で繁盛を加速させようとするが、そのやり方のせいで、人々から次第に恐怖心や敵意を抱かれるようになってしまう。

    及川

    琉花の同級生の少年で、何事にも偏見なく真っ直ぐ向き合う性格のガチヲタ。
    人の感情を過剰に汲みとってしまう琉花にとって及川といる時間が何よりも貴重で安心できるひと時であった。及川自身は寧島の出身であるため、フクノカミが普通の人間と同じように見える。

    黒蓮と青木

    東京に住む、女性作家の黒蓮と黒蓮の担当の青木。
    田舎の島を舞台とした小説の構想を練っており、取材のために寧島を訪れる。早坂商店の民宿に宿泊した際に、フクノカミと遭遇する。

    黒蓮はフクノカミに対して何の違和感も抱かない早坂町子に強い警戒心を抱き、フクノカミの本当の姿を見ることができる早坂琉花とともにさまざまな検証を行う。一方、青木は急な仕事が入り、1人で東京に帰ることとなる。その際に、極秘でフクノカミを扱った企画を立てようとしていたが、いざ東京に着くとフクノカミに関するすべての記憶を失ってしまう。

    作品の魅力

    (1) フクノカミとの出会い

    祠に祀られた直後に自我を持って琉花の前に突然登場したフクノカミ。さっき自分が祀った置物とその奇妙な物体が同一のものなのかという判断ができなかった琉花は慌てて逃げるのですが、その物体が自分が昨夜置物を磨いた際に折ってしまった左腕を持っていたことを思い出し、恐る恐る自転車を降りて振り返ってみました。
    するとその物体が「ペタ、ペタ」とゆっくりと琉花に歩み寄ってきて、琉花が「福の・・・神・・・ですか?」と問うとこの世のものとは思えないスピードで追いかけてきます。
    フクカミの耳たぶが後方になびいている様子がじわりじわりと加速するスピードをものがたっています。 驚いた琉花は必死の思いでペダルを漕いで逃げまどうのですが、自転車に追いついた瞬間、フクノカミは跳ぶのです。そう、まるで有名なSF映画のワンシーンのように神々しく前輪が浮いた自転車の籠に鎮座します。
    この後、恐怖と戸惑いからくる咄嗟の判断で琉花は自転車から降りて、単独で防波堤にぶつかった自転車の反動でフクノカミは弧を描いて海に落ちてきました。 琉花は倒れた自転車を起こし、猛スピードで帰宅するですが、翌日またもや恐怖な出来事に襲われるのです。

    (2) 祖母・町子の異変

    料理上手で人情味に溢れる琉花の祖母・町子は夫に先立たれ、早坂商店兼民宿を一人で営んでいました。ある日町子は、地元の人間ではない琉花や黒蓮たちには異様な物体にしか見えないフクノカミを小柄な中年男性のお客様として民宿に迎え入れてしまいます。
    その日から早坂商店と民宿が一変して儲かりだしたのです。 レジの売上金を見た時、町子の目の色が変わりました。

    祖母・町子はフクノカミにお酒と食事を与え、ついには町子の部屋に神棚のようにフクノカミの居場所を設置しました。これまで“人情味あふれるおばちゃん”という様子だった町子の化粧が濃くなり、だんだんと雰囲気が変わっていくことが琉花には不安になります。
    自分が拾ってきた干からびた置物のせいで世界が変わっていくのではないかと怯える日々がはじまるのです。

    (3) 寧島の過去

    フクノカミの信者が増え、各々の祈りを捧げることでフクノカミが艶めきはじめました。
    フクノカミを人型ではなく、本当の姿で見ることができる琉花と、東京から取材で滞在している黒蓮はこのままでは町子と島全体の未来が危ういと危機感を覚え、さまざまな検証に乗り出します。
    そんな中で黒蓮は歴史関係を手掛けるライターの男性から、かつて江戸時代の寧島が一時期大きな発展を見せていたことを聞かされました。ただ、その好景気は長く続かなかったと…。
    当時の現象が島民の欲望や精神がフクノカミによって操られたことで起こったのではないか、そしてその仮説が事実となれば、現代の島民も金によって欲望が強くなり、最終的に金をめぐって争いあう展開になるのではと…。 平和だった寧島が争いで欲望と血まみれの島に変わるのか、もしくはフクノカミの正体を暴き、平和な島を取り戻せるのか。


    果たしてフクノカミは本当の意味での福の神なのか・・・

    まとめ

    『ゴールデンゴールド』は現在、単行本5巻まで配信中&モーニング・ツー(講談社)で連載中です!まだまだ先が読めない面白さ!巻を追う毎にフクノカミが姿かたちを不気味に変化させていく様子がちょっと気持ち悪いと思いながら、ちょっと触ってみたくもある、五感をくすぐる中毒性の強い作品です!全力でオススメします!

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    刻刻(1)
    刻刻(1)
    佑河樹里(ゆかわ・じゅり)は失業中の28歳。家では父・貴文(たかふみ)と兄・翼(つばさ)、じいさん三代のダメ男がヒマを持て余している。ある日、甥・真(まこと)が翼とともに誘拐される。身の代金を渡す期限に間に合わなくなった時、じいさんは佑河家に代々伝わるという「止界術」を使い、世界を“止めた”。 だがあり得ないことに、救出に向かった先で樹里たちは自分たち以外の“動く”人間に襲撃される。そしてパニックの中、異形の存在「管理人」が現れ…