山崎邦正さんの主演で実写化もされ、さらに連載30周年記念展も開催された人気作、『カメレオン』をご存じでしょうか?ヤンキーマンガとして長年多くのファンに愛された理由や、どんなところが魅力かを解説していきましょう。
「カメレオン」はどんなマンガ?
本作の連載情報や作品の雰囲気について解説します。また、『カメレオン』は実写化もされているため、そちらの情報もあわせて紹介していきます。
週刊少年マガジンで1990年から連載
1990年から2000年までの間、週刊少年マガジンで連載されていた『カメレオン』は単行本が全47巻まで販売されている長編作です。 作者は加瀨 あつしさんで、千葉県出身の漫画家です。『カメレオン』も千葉が舞台の話となっており、千葉県にゆかりのある人にとっては親しみやすい作品といえるでしょう。
マガジンのヤンキーマンガを代表する作品
『カメレオン』は多くの不良たちが登場するヤンキーマンガでありながら、同時にクスリと笑えるようなコメディ要素の多い作品でもあります。 不良たちのバトル、友情などが描かれているほか、登場人物の恋愛や日常も描写され、テイストもコメディからシリアスな場面まで幅広いです。そのため多くの読者から愛され、マガジンのヤンキーマンガというジャンルにおける代表作として認知されています。
山崎邦正主演で実写化
『カメレオン』は1996年、徳間ジャパンコミュニケーションズの制作により実写化され、ビデオ作品が作られました。主人公の矢沢を演じたのは、お笑い芸人の山崎邦正(やまさき ほうせい)さんです。ヤンキーでありながらコミカルな一面を持つ主人公を演じるのにぴったりだと話題になりました。 ヒロインの浅岡ヒカルは、島田沙羅さんが演じています。実写版の脚本は、多くのアニメ作品を手がけた園田英樹さんが担当しました。
カメレオンの基本情報
本作のあらすじや、主人公である矢沢について、基本的な情報を解説します。もしこれから読みたいと考えている方は、予習の材料にしてください。
あらすじ
いじめられっ子として悲惨な中学時代を過ごしていた矢沢は、ヤンキーとして高校デビューし、一目置かれる存在になろうと目論みます。 しかし本人はお調子者かつ見栄っ張りとカリスマ性のある性格とはほど遠く、さらにケンカも弱いため腕っぷしで名を上げることはできないと判断しました。 そこで矢沢は、頭を使ったり、時にははったりや嘘を利用したりして、ヤンキーたちと渡り合おうとするのです。彼の通う高校には有名なヤンキーも通っていましたが、持ち前の知恵と悪運でピンチを乗り切り、少しずつ仲間を増やしていくのでした。
矢沢栄作はどんな人物?
主人公、矢沢 栄作(ヤザワエーサク)は、成田南高校に通う学生で、ヤンキーとして高校デビューしたかつてのいじめられっ子です。 見た目は低身長で外見は整っておらず、ありもしない武勇伝を語ったり女子生徒には下心丸出しであったりするため、女子生徒から敬遠される描写もあります。モテとは無縁のビジュアルで、少年マンガの主人公としては珍しいタイプといえるでしょう。 女子生徒には避けられているものの女性に対しての欲が強く、気に入った子や魅力的な子にセクハラまがいの言動を取ることも日常茶飯事です。 その外見や性格からコミカルに描かれることが多い矢沢ですが、ヤンキーたちとの戦いでは頭を使って勝利を収めるシーンも描かれています。策士としての一面を見せるシーンには普段のコミカルさとのギャップがあり、爽快感を感じることができるでしょう。
「カメレオン」がなぜいま注目されている?
『カメレオン』は、昔の作品でありながら、最近再び注目を集めています。その理由について紹介します。
カメレオン30周年記念展
実は本作は連載開始から30年が経過しており、それを祝して2021年4月に『カメレオン30周年記念展』が開催されました。作者である加瀨先生の生原稿が展示されたり、フォトスポットで撮影ができたりと、ファンなら時間を忘れて楽しめる内容が盛りだくさんのイベントです。 開催にあわせてTシャツやアクリルフィギュアなどのグッズも販売されており、こちらは現在『墓場の画廊』オンラインストアで購入できます。
カメレオンの面白さの秘密
長い間連載され、多くのファンを獲得した本作『カメレオン』の魅力をいくつかピックアップして紹介します。
少年誌には過激すぎる下ネタ
ヤンキーマンガとしてはもちろん、コメディとしても楽しめる本作ですが、ギャグの中には過激な下ネタも多く登場します。 連載されていたのが少年誌ということを考えると、時代が時代なら規制されてしまいそうな直接的な表現が多用されています。近年の少年マンガではあまり見られないものだからこそ、ハードな下ネタが好きな層には大ウケする内容ともいえるでしょう。
セリフ回しが秀逸
ヤンキーといえば言葉より拳で語ったり、ストレートなケンカ口調で罵り合ったりする作品が一般的です。しかし本作は、ヤンキーながらどこか捻った言い回しや、ボキャブラリーに富んだケンカ言葉が多く登場するのが特徴です。 たとえば、強いヤンキー相手に啖呵を切ったにもかかわらず、直後に電車で逃げていった主人公に対してヤンキーは「戻ってこいシンデレラエクスプレス野郎!」と特徴的なヤジを飛ばします。ヤンキーキャラにいだくイメージと語彙力のギャップが、本作の魅力の一つになっているのです。
ケンカが弱い主人公
ヤンキーマンガといえば、ケンカが強い主人公がライバルヤンキーたちと拳で戦い、かっこよく勝利していくのが王道です。 しかし本作の主人公、矢沢はケンカが弱く、正面からぶつかれば大抵負けてしまいます。そのため、相手を女子トイレに誘い込んで精神的に追い詰めたり、はったりの武勇伝で押し通したりと、正攻法ではない戦い方で勝利していきます。 ヤンキーなのに腕っぷしを使わず頭で勝つ、という設定は当時新しく、今までヤンキーマンガにあまり触れてこなかった層でも読みやすいマンガであるといえるでしょう。
続編が月刊少年マガジンで連載
『カメレオン』には続編があります。どんな内容で、主人公は誰なのかなど、作品について紹介しましょう。
7年後を舞台にしたストーリー
続編のタイトルは『くろアゲハ』で、『カメレオン』から7年後の話を描いています。千葉県が舞台なのは『カメレオン』と同じですが、矢沢は主人公ではなく、数年前から行方不明になっています。 相沢、椎名など本作で矢沢と行動を共にしていた仲間たちは大人になった姿で登場し、前作のファンを湧かせました。 連載は月刊少年マガジンにて2013年から始まり、2021年現在も連載中です。単行本は12月16日に18巻が発売されます。なお『くろアゲハ』の連載前には、読み切りとして『カメレオン Seven Years After』という作品も掲載されていました。(単行本1巻収録)
主人公は女装男子
くろアゲハ ~カメレオン外伝~(17)
少年・青年マンガあのヤンキーマンガの金字塔・『カメレオン』の正統続編!! 時は『カメレオン』最終回から7年後、舞台は成南、主役は女装!?“OZ二代目”・山本都姫と、彼女に想いを寄せる高校生・星野英太。英太は、実家のスナックをホステス“エイラ”として手伝う日々。ある夜、女装姿のまま都姫と出会い、意気投合してしまう‥‥OZ初代解散から七年、相沢が、椎名が、ヤザワくんが今も生きる街で、新たな暴走神話が生まれる! 大将戦にもつれ込んだOZ二代目×乱鬼龍Part II、エイラvs久米蘭子。駅前にたむろする昭和臭丸出しのヤンキーどもを「お掃除」するのがバトルのお題。二人の発するカリスマに丸め込まれるヤンキーどもだが、ボスキャラ・半グレ軍団が乱入し──!?ますます盛り上がる女装ヤンキーラブコメ!!