窪田正孝さん主演でドラマ化もされた人気作『僕たちがやりました』をご存じでしょうか?ある事件がきっかけで、普通の高校生が殺人犯になってしまう物語です。登場人物やあらすじを紹介しつつ、マンガの見どころを解説していきましょう。
「僕たちがやりました」概要
連載されていた雑誌の情報やあらすじのほか、ドラマ化された作品の情報などをまとめて紹介します。
講談社「ヤングマガジン」にて連載
『僕たちがやりました』は原作者・金城 宗幸さん、作画・荒木 光さんによって生み出されたマンガです。 金城さんは、『神さまの言うとおり』『ブルーロック』などのヒット作で知られる原作者で、予想外でドラマチックな展開に定評があります。 本作も例に漏れず、平穏な日常を描いているかと思いきや、ある事件をきっかけに日常から逃げざるを得なくなった男子高校生たちの焦燥や葛藤を描いています。単行本は全9巻で、完結済みです。
実写版テレビドラマ化も
2017年には実写化され、地上波でドラマとして放送されました。窪田 正孝さんや永野 芽郁さんら豪華出演陣で話題になりました。 主題歌はDISH//さんの『僕たちがやりました』、オープニングにはMrs. GREEN APPLEさんの『WanteD! WanteD!』が選ばれ、さらに挿入歌としてエド・シーランさんの楽曲『シェイプ・オブ・ユー』が使われるなど、楽曲も豪華です。 ドラマと原作の違いとして、ドラマオリジナルのキャラクターが登場したり、終わり方が原作とは異なっていたりします。ドラマしか見ていなかった人も、改めて原作を手に取ることでより深く楽しめるでしょう。
チェックしておきたい見どころ
本作の見どころは、その生々しい人間描写とストーリー展開です。どんな点が特に魅力か、解説していきます。
日常から事件への落差
主人公、トビオは勉強も人付き合いもそこそこに、それなりの生活を送っていました。ある日友達がいじめられた仕返しにと、つるんでいた仲間と共にプラスチック爆弾でのイタズラを仕掛けます。 その爆弾が引き金となって大きな爆発が発生し、その被害は彼らの想像を超えて死傷者を出してしまう事件に発展したのです。 それまで平凡な暮らしをしていたはずが一転して事件の加害者になり、警察や周囲の目を気にしながら怯える生活が始まるという展開に、読み手側は一気に緊張感が高まります。家族や恋人との接し方も考えざるを得なくなり、ありきたりな平和が終わったことを実感させられる生々しい描写に注目です。
ストレスにさらされた人間の姿
監視カメラの映像や、警察の捜査力により徐々に自分たちが追い詰められていることを実感するトビオたちは、極限まで神経をすり減らされます。 自分たちが人を殺したという事実には抗えず、逃げながらも罪の意識に苛まれるトビオたちの様子は、ストレスにさらされた人間がどうなってしまうかを見事に描いています。 ある者は現実逃避をし、ある者は性欲に溺れるなど、本来持つ性格によって、追い詰められた時の反応が様々です。もし自分だったら、と感情移入しながら読むと、より臨場感を味わえるでしょう。
青春らしい恋愛要素も
事件の加害者としての逃走劇を描きつつも、一方で彼らは高校生のため、恋人がいたり、気になる女の子がいたりします。 もちろん事件がきっかけでその関係性も変化していきますが、年相応の青春が描かれているシーンもあり、非日常とのギャップを楽しめるでしょう。 特に主人公トビオと幼なじみ蓮子の微妙な関係性は、もどかしくも切ない展開で胸が締め付けられます。
「僕たちがやりました」あらすじ
どんな登場人物が出てきて、どのような内容の話なのか、序盤の展開を中心に説明していきましょう。
復讐のために仕掛けた爆弾が大爆発
主人公、増淵 トビオ(ますぶち とびお)はごく普通の高校生で、友人の伊佐美 翔(いさみ しょう)、丸山 友貴(まるやま ゆうき)、そしてOBの小坂 秀郎(こさか ひでろう)と平凡な高校生活を送っていました。 通学している凡下高校の向かいには矢波高校があり、そこは不良学生が集う高校でした。ただ目立たなくしていればそこまで目をつけられないため、「そこそこ」の生き方で平和に生きる日々です。 ある日、矢波高校の生徒がたむろっているのを見た丸山が遠くから彼らをからかいました。するとそれが見つかり、絡まれてしまいます。 小阪がお金でその場を収めましたが、不良たちの怒りは収まっていませんでした。トビオたちが遊んでいる場に現れた不良たちは、丸山を拉致し暴行を加えます。 トビオたちはその復讐として、プラスチック爆弾を矢波高校に設置して爆破させる計画を立てました。窓ガラスを割る程度の算段で実行したプランでしたが、プロパンガスに引火するというアクシデントにより、大爆発を起こしてしまったのです。
殺人犯になった4人の逃亡劇
10名以上の死者と、多くの怪我人を出してしまったその事件により、トビオたちはただの高校生から殺人犯へと転落してしまいました。 小阪の似顔絵が容疑者の顔としてテレビで放送されたり、連日事件の報道が流れたりする中で、トビオたちは危機感を募らせていきます。自分たちだけの秘密にしていればバレない、と当初は考えていましたが、それも限界があると気づき、小阪は国外逃亡を画策します。伊佐美はグループを抜けたため、残ったトビオと丸山がそれに同意し、空港で待ち合わせました。 しかし約束の時間になっても丸山は現れず、空港に到着したトビオが見たのは、容疑者として確保されている小阪の姿でした。残されたトビオは、必死の逃亡劇を始めます。
最低だけど魅力的?主要キャラクター
本作には多くのキャラクターが登場し、どのキャラもクセが強く個性的です。主要人物を紹介していきましょう。
増淵 トビオ (ますぶち とびお)
本作の主人公で、凡下高校に通う男子生徒です。「そこそこ」をモットーにしており、何事にも過度な期待をしないよう生きています。 いつもつるんでいる4人組の中では比較的常識的な振る舞いをする人物で、事件後は罪悪感と戦いながら逃亡生活を続けていました。 蓮子とは幼なじみで、互いに好意を持っていますがなかなか距離が縮まりません。しかし事件がきっかけで心境に変化が起き、大胆な行動を起こすようになりました。
小坂 秀郎 (こさか ひでろう)
凡下高校を卒業したOBで、トビオたちとよくつるんでいます。パイセンと呼ばれ、時折気を遣われながらも4人で仲良く遊ぶことが多いです。 親が金持ちで生活には困らないため、タワーマンションに住み、トビオたちにもよく奢っています。事件後は、秘密にするためトビオたちに口止め料として大金を渡していました。 学生時代はいじめられっ子であり、卒業後も友達ができず、高校にやってきてはトビオたちと遊んでいるのを先生に見つかり怒られています。 おどけた言動に丸坊主、関西弁とキャラクターが濃く、4人組の中でも特に目立つ存在です。女性経験が乏しく、その部分をつっこまれると虚勢を張るなど意地っ張りな面もあります。
丸山 友貴 (まるやま ゆうき)
トビオと同じ高校に通う男子生徒で、「マル」の愛称で呼ばれています。キノコのような髪型が特徴で、不良からはキノコと呼ばれていました。 臆病で小心者ですが、他人の金を盗んだり、罪に対して開き直ったりするなど、自己中心的・攻撃的な面も持ち合わせています。 4人組の中でも一番罪悪感が薄く、小阪に対して「奢ってくれるから好き」と言い放ったり、口止め料のお金で風俗に通ったりと、人として褒められない行為を平然と行う性格です。
伊佐美 翔 (いさみ しょう)
トビオと同じ高校に通う男子生徒で、4人組の中で当初は唯一女性経験がある人物でした。今宵と交際しており、性欲が強く作中では度々今宵と激しく求め合う姿が描かれています。 事件後、一度は自殺を考え実行しましたが、未遂に終わりました。
蓮子 (れんこ)
トビオの幼なじみで、明るく他人思いな女子高生です。トビオに対して好意を持っていましたが、事件後、半ばやけになったトビオに無理矢理迫られたことで一時は関係が悪化します。 しかしそれでもトビオのことを思い続け、彼が行方不明になった時は市橋と共に捜索し、彼の身を案じていました。市橋が相手でも物怖じしないなど度胸もあり、また罪悪感に苛まれるトビオを優しく受け止める包容力も持っています。
今宵 (こよい)
伊佐美の後輩で、可愛らしい外見と抜群のスタイルを持つ女子高生です。伊佐美の交際相手であり、事件後は部屋に逃げ込んできた伊佐美をかくまっていました。 喋り方や表面的な言動から、脳天気な子と思われがちでしたが、実際は家庭的であったり、物事をちゃんと考えていたりとしっかり者の一面もあります。 伊佐美が行方不明時には、トビオを部屋に招き、一時的に同じ部屋で過ごしていました。
市橋 哲人(いちはし てつと)
矢波高校に通う不良生徒で、不良たちの中でリーダー格の存在です。色黒の肌と長身が特徴で、丸山を拉致して暴行を加えた主犯でもあります。 爆破事件により全身に怪我を負い、完治は不可能と診断され、車イスでの生活を余儀なくされました。結果、矢波高校にてリーダーの地位を失い、さらには自身の夢であったパイロットも諦めざるを得なくなり、どん底にたたき落とされます。 最初はトビオたちへの復讐に執念を見せていましたが、蓮子との出会いや自身の境遇により、次第に心変わりを見せました。
青春サスペンスマンガのラストを見逃すな!
『僕たちがやりました』は、平穏な青春学園生活が、一つの事件によりサスペンスへと変貌する作品です。 日常が非日常へと変わり、殺人犯として人生をどう過ごすか、追い詰められた人間の本性を見ることができます。生々しい人間ドラマが好きな人にぜひおすすめしたいマンガです。まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。