『僕たちがやりました』は、高校生である主人公とその友人達が繰り広げる青春サスペンス漫画です。 原作は金城宗幸先生、漫画は荒木光先生が手がけており、2015年から2017年まで『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載されました。 些細な事がきっかけで意図せず人の命を奪ってしまい、それまでの普通の生活が送れなくなってしまった高校生達の青春逃亡劇と、彼らの心理が描写された作品です。
『僕たちがやりました』とは
"そこそこ"で生きていた、いかにもイマドキな4人の若者たち。 「僕たちがやりました」は、軽はずみな行動によって泥沼にはまっていく少年たちが、笑いあり苦労ありの経験をつんでいく中で、人間の汚さや強さなどに接するドラマとサスペンスを組み合わせた、笑えるけれどビターな作品として人気の漫画です。 その人気の高さから2017年にフジテレビ、関西テレビ系でドラマ化もされ話題になりました。
あらすじ
【ネタバレ注意】 凡下高校生徒の2年生・増渕トビオは、同級生の丸山友貴と伊佐美翔、OBで金持ちのパイセンこと小坂秀郎と共に、そこそこ楽しい日常を送っていた。 そんなある日、不良が多いことで有名な隣の矢波高校の生徒に目を付けられ、マルがボコボコにされてしまう。 この出来事がきっかけとなり、主人公グループは矢波高校にイタズラ心で仕返しをすることを決める。 仕返し方法は、プラスチック爆弾を矢波高校に仕掛けて、彼らを驚かせようというものであった。 作戦の実行日、爆弾が爆発し次々と窓ガラスが割れていく中、最後は想像していたよりも大きな爆発となり、死傷者もでる大惨事となる。 意図せずに殺人事件を起こしてしまった主人公達はあるゆる方法で、この罪から逃げる方法を考えるのであった。
魅力ポイント
(1)一気読み必至!波乱万丈のストーリー展開
本作品の1つ目の魅力は、その先何が起こるか想像がつかない波乱万丈なストーリー展開です。 作品冒頭でどこにでもいるような高校生が、ただ何も考えずに友達と青春を楽しんでいたところから、軽はずみに行なった爆破計画により、人生が大きく変わり始めます。 逃亡中にも様々な出来事が起こる為、気づいたら主人公に感情移入して読み進める事になるでしょう。 想定できない事が次々と起きる為、思わず一気読みしてしまうこと間違いなしです!
(2)ただの青春漫画ではない深み
2つ目の魅力は、高校生ならではの心理的変化です。 思いがけず殺人を犯してしまう事になる主人公グループですが、彼らもまだまだ考えは未熟な高校生です。 この事件がきっかけで友情が崩壊してしまったり、人生に途方に暮れる各キャラクターの心理描写は、非常にリアルな若者たちの思考を捉えたものとなっています。 理想の青春時代からかけ離れた生活を送る事になる主人公達の心の葛藤にも是非注目してみて下さい。
個性的な登場人物
増淵 トビオ(ますぶち とびお)
本作品の主人公。 凡下高校の2年生。あだ名は「トビオ」。大きな夢を持っておらず、そこそこの人生こそが理想だと掲げている。特に決まった活動をするわけでもない名前だけのフットサル部で、部員のマルや伊佐美、OBのパイセンと遊んでいる。 爆破事件後は罪悪感に悩まされ、心の葛藤と戦う日々を送っていたが、無意識に学校の屋上から飛び降りてしまう。奇跡的に骨折だけで済み、これをきっかけに人生をやり直すことを決意した。被害者の市橋とも友人となり、蓮子とも付き合う事になる。 そんな幸せな日常を歩んでいたが、市橋が自殺した事によって再度あの事件について考えさせられる事に。この市橋の自殺がきっかけで自首を決意する事となった。 10年後の世界では、芸能事務所のマネージャーになっているが、蓮子とは別れており、別女性と交際している。
丸山 友貴(まるやま ゆうき)
トビオの同級生。あだ名は「マル」。普段は内向的で友達想いの一面を見せる事も多いが、実は冷酷で腹黒い性格。特技は書道。 みんなのそこそこの日常を、ブチ壊すキッカケを作った張本人。 事件後も特に罪悪感を抱かずに生活していたが、自分には本当の友達はトビオ達しかいない事に気づかされ、自首を決意するも、また直前で逃げ出す。 10年後の世界では、パイセンから奪った資金を元手に「ミトコンドリア水」でネズミ講を働き、年収3000万の男となっている。
伊佐美 翔(いさみ しょう)
トビオの同級生。あだ名は「伊佐美」。 普段はふざけたお調子者キャラだが、お金が絡むと冷静になる。今宵と交際している。 爆破事件後は罪悪感に悩まされて、自殺を試みるが失敗する。 今宵の妊娠が発覚した際には、殺人犯の父を持たせたくないという理由で別れることとなるが、この出来事がきっかけで、罪を償い父親になると決め自首をする。 10年後の世界では今宵と結婚しており、明日男(トゥモロオ)と翌朝(ネモ)という2児の父になっている。
小坂 秀郎(こさか ひでろう)
凡下高校フットサル部のOB。あだ名は「パイセン」。関西弁で喋る陽気な男で金持ち。20歳だが特に働かずに仕送りで生活している。 友人欲しさもあって、毎日のように母校に来ては、部の後輩でもあるトビオたちと遊んでいる。 お金で友人関係を作れていることは薄々気づいているが、それでも友人でいてくれるトビオたちのことを大事に思っている。 爆破事件は小坂がプロパンガス近くに設置した爆弾により引き起こされた。 爆弾設置時に防犯カメラに顔が写っていた為、国外脱出を計画するも空港で逮捕されてしまう。しかし、父の権力のおかげで釈放される事に。 その後その父親に実は全く愛されていない事がわかり、報復の意味を込めて自首を決意する。 この自首イベントの際に、異母兄弟を殺害してしまい殺人罪で10年服役する事に。 10年後の世界では、刑期を終えて出所し、トビオたちと再会。 金も身寄りもなくなったが、お笑い芸人になるという夢を見つけ、お笑いの養成所に通う。
蒼川 蓮子(あおかわ れんこ)
本作品のヒロイン。トビオの幼馴染。女子高に通っており、市橋と仲が良い。 トビオが好きで後に付き合う事になるが、事件の葛藤に苦しむトビオから別れを告げられる。10年後の世界では、別の男性と結婚し、子を身籠る。
新里 今宵(にいさと こよい)
伊佐美の彼女。一見何も考えていないように見えるが、実はしっかりしていて、事件の事にも気づいている様子が伺える。 事件発生後、逃亡中のトビオは一時期彼女の家に入り浸る事に。 結局トビオが童貞を喪失した相手となる。 伊佐美との間に子供ができるも、犯罪者の子供にしたくないという理由で別れを告げる。
市橋 哲人(いちはし てつと)
不良校で有名な矢波高校のトップに君臨するヤンキー。 その凶悪さは筋金入りで、矢波高校の生徒に向かって「死ね」と発言したマルを半殺しにした。 結果的にこの行動が、爆破事件の直接的な要因となる。 爆破事件後、当初は死亡説も出たが、なんとか一命を取り留めた。 しかし事件の後遺症は残り、車椅子生活を余儀無くされる。 最後は、事件の真相を知らぬまま自殺という選択をする。
メディア情報
テレビドラマ 2017年7月から9月まで毎週火曜21時 - 21時54分にカンテレ制作・フジテレビ系「火曜21時枠」にて放送された。 窪田正孝氏が主演を務めたことで話題となる。
まとめ
いかがだったでしょうか。 青春漫画ということで、もちろん友情、恋愛もテーマとなっており、友人達との会話はまさしく高校生らしい笑えるシーンが多いです。 ただし本作品の見所は何と言っても、事件後の各キャラクターの心境の変化、そしてそれに伴う様々な出来事と言えます。 ただの青春漫画ではない急展開ストーリーが待ち受ける話題の本作品は、全9巻となっているので、一気に最後の結末まで読み進めることをオススメします!