テレビアニメ化や外伝作品の制作など、『賢者の孫』はさまざまなメディアミックスもされている話題作です。 ライトな作風で初見の人でも読みやすく、あまりに強い主人公の活躍には爽快感を覚えるでしょう。 作品のあらすじや見どころを紹介します。
「賢者の孫」の概要
『賢者の孫』はもともとは小説家になろうで連載されていた吉岡剛氏作の小説です。2015年7月にファミ通文庫より刊行され、2016年から『ヤングエースUP』にて漫画版が連載されています。 また、2019年4月から全12話でアニメ化されました。シリーズ累計発行部数は620万円部を突破しているなど、『小説家になろう』発のコミカライズ作品の中でもヒットしている作品です。
「賢者の孫」のあらすじは?
『賢者の孫』のあらすじを紹介します。主人公のシンが異世界でどのように成長し、どのような経緯でアールスハイド魔法学院に入学したのかなど、物語序盤のあらすじを見ていきましょう。
異世界で賢者「マーリン」に拾われる
シンはもともと日本人のサラリーマンでしたが、交通事故によって死亡したのち、異世界へと転生します。赤ん坊として生を授かりましたが、乗っていた馬車が魔物に襲われ、一緒にいた家族らしき周囲の人たちは全員魔物によって殺されてしまいます。 幸いにも魔物はシンを見逃し、生き残ることができました。その惨劇の場に、世界中でその名が知れ渡っている高名な賢者・マーリンがおとずれ、シンを保護します。マーリンはシンを拾ったことも何かの天命かと考え、シンを育てることに決めたのでした。
常識を勉強するため学校へ入学
それから数年間、シンはマーリンと森の中で暮らしていました。マーリンからは魔法を学び、またマーリンの知り合いであるメリダやミッシェルからは魔道具の製造や武術を学びます。8歳でありながら、シンは一人で魔物を倒せるほどの実力を身につけていました。 そのまま武術や魔法を教わりながらの生活は続き、シンの15歳の誕生会には、マーリンの知り合いをはじめとした数人の大人が集まりました。 彼らとの会話の中で、シンが異世界に来てから一度も買い物をしたことがないことや、お金について何も知らないことが露呈します。 森の中でマーリンと暮らしていたシンは、異世界における一切の常識を持ち合わせていなかったのです。 そこで、シンの面倒を見ていたディセウムから、一般常識を学ぶとともに、同年代の友だちを作るために、アールスハイド魔法学院へ入学することを提案されます。その提案に従って、シンはアールスハイド魔法学院に通い、 最強の実力を持つ生徒としてさまざまな事件や難題を解決することになるのでした。
主要キャラクターを紹介
『賢者の孫』に登場する主要キャラクターを、主人公のシンとその関係者を中心に紹介します。
シン=ウォルフォード
本作の主人公です。前世は日本人のサラリーマンでしたが、交通事故で死亡した後に異世界に生まれ変わります。 赤ん坊の頃にマーリンに拾われた後は、マーリンから魔法、メリダから魔道具の知識、ミッシェルから武術を学びながら生活します。それぞれの師匠が各分野における世界最強クラスのエキスパートであり、シンはそれらの能力を受け継いだ結果、国家間の力関係を覆しかねないほどの実力を身につけることとなりました。 しかし、残念なことにシンは15歳まで常識を一切学んでこなかったために、自分の実力がどれほど世間と乖離しているのかや、世間一般の常識や振る舞いを身につけていません。その結果、シンの将来を危惧したマーリンたちによってアールスハイド魔法学院へと入学させられます。
シシリー=フォン=クロード
本作のヒロインです。清楚でおしとやかな性格で、誰にでも優しい反面、嫉妬深く浮気は絶対に許さないという一面があります。 悪質な冒険者に絡まれていたところをシンに助けられ、それをきっかけに一目惚れします。 治癒魔法が得意で、後に初陣での活躍から”聖女”という二つ名を授かりました。
マリア=フォン=メッシーナ
シシリーの友人で、勝ち気な性格をしています。魔法学院の入学試験の成績は女性陣ではトップであり、戦闘でも優秀な能力を発揮します。 シシリーのことは大切に思っており、 お節介を焼くこともあるようです。入学後はシンが立ち上げた究極魔法研究会に入会し、めきめきと実力を伸ばしています。
アウグスト=フォン=アールスハイド
アールスハイド王国の第一王子です。ディセウムの実子であり、シンとは血はつながっていないものの従兄弟のような親しみを覚えており、親友として接します。シンの常識のなさに寛大な一方で、身分を笠に着た横柄な振る舞いや傲慢な貴族を嫌っている様子です。 品性歩行で礼儀正しく振る舞いますが、心許した者には冗談を言ったりからかうような言動をする一面を見せることもあります。
マーリン=ウォルフォード
シンの育て親です。赤ん坊の頃のシンを拾って育てあげ、魔法学院に入学させます。お茶目な言動をときおり見せる一方で、実は世界中でその名を知らない者がいないほどに魔法に優れた賢者でもあります。 シンに対しては孫同然の感情を抱いており、シンが政治的な道具にされることのないよう身を案じています。シンを最強レベルの実力者に育て上げましたが、彼に常識を教えることを一切してきませんでした。 スピンオフ作品『賢者の孫 Extra Story 伝説の英雄達の誕生』では主人公を務めています。
メリダ=ボーウェン
マーリンとともにシンを育てた人物です。魔道具の扱いに長け、"導師"の二つ名で呼ばれています。生真面目で常識人である一方、シンには過保護な面もあります。シンからは”ばあちゃん”と呼ばれていますが、彼女に対しては国王ですら頭があがりません。 実はマーリンとはもともと夫婦関係にあり、息子もいましたが現在は離婚しています。『賢者の孫 Extra Story 伝説の英雄達の誕生』ではヒロインを務めており、マーリンとのなれそめについて描かれています。
「賢者の孫」の見どころ
『賢者の孫』を読む上で、楽しんでもらいたいポイントを解説します。本作を読む際に注目してみてください。
主人公のチートぶり
世界に名を轟かせる大賢者と導師、そして武術の達人から学びを得たシンは、元々の要領の良さもあって同年代どころか国内、さては魔族と比較しても頭ひとつ抜けた実力を持っています。 にもかかわらずシンは、その常識のなさから自分がどれほどの実力を持っているか、どれほど規格外の事をやってのけているかを理解していないのです。 「またオレなにかやっちゃいました?」というシンの台詞は作品外にまで名を轟かせるほど彼の代名詞となっていますが、本作はこの規格外のことをあっさりとやってのけるという主人公のチートぶりを楽しむ作品でもあります。
迫力のバトルシーンは必見
本作はバトルシーンにも非常に力を入れています。序盤から魔族やその手下、高慢な貴族と戦うなど、バトルシーンが作品の全体比率としても多く、本作の魅力の一つと言えるでしょう。 シン以外に、シシリーやマリアなどのヒロインも戦います。シンの規格外の能力とは裏腹に、彼女たちはシンの支援を受けた普通の人間であるため、爽快感のあるシンの戦いとは一味違う、ハラハラした気持ちを味わうことができるでしょう。
ヒロインのかわいさも重要ポイント
メインヒロインのシシリーはもちろんのこと、その友人である勝ち気な性格のマリアやクラスメイトのアリス、リンなど可愛らしい女の子が多数登場します。 一人一人性格の違う彼女達がシンに対して接する様子や、そのたびに嫉妬するシシリーの様子など、女の子同士の関係もシンを中心に複雑かつ面白く描かれています。 女の子の可愛らしさと活躍にも注目してみましょう。
派生作品もチェックしよう
本作『賢者の孫』は外伝作品も連載されています。 外伝作品と合わせて呼ぶと本作をより楽しむことができるでしょう。 どのような外伝作品があるのかを紹介します。
賢者の孫SS
本編の番外編的な内容です。 アルティメット・マジシャンズのガールズトークをはじめ、彼女たちの日常エピソードなどを本編よりゆるいノリで描いています。 本編を読んだ後のサイドストーリー的な内容で、本編の裏でそれぞれのキャラクターたちがどんな風に過ごしているのかがわかる一冊です。本編と併せて楽しんでみてください。
チート系主人公の強さでストレス発散!
ライバルとしのぎを削る、圧倒的な強さを持つ強敵に立ち向かう……そんな作品も魅力的ですが、本作は主人公が圧倒的に強く爽快感を楽しめる作品です。 最強の英雄たちの元で育てられたシンの常識外な強さは、敵対する者たちがどんな策を用いようともそれを本人も無自覚の間に粉砕してしまいます。そんな圧倒的すぎる強さで敵を圧倒するシンの描写は、読んでいてスカッとさせてくれます。 強敵を蹴散らす主人公やかわいい女の子との描写をストレスなく楽しみたい人は、ぜひ本作を読んでみてください。
賢者の孫(1)
少年・青年マンガ事故で死んだはずの青年が、赤ん坊の姿で異世界に転生。そして救国の英雄「賢者」マーリン・ウォルフォードに拾われた彼は、シンと名付けられる。孫として育てられたシンはマーリンから魔法を教わるが、その習得速度は驚くべきもので、メキメキと力をつけていく。一方、山奥で世間から隔離されて育った弊害として、シンには一つ致命的な問題があった…。そう、シンが15歳となった時に祖父・マーリンは言ったのだ――「常識を教えるの忘れとった」! かくして常識と友達を得るためアールスハイド高等魔法学院に入学するシンだったが――。《規格外》な少年の型破り異世界ファンタジーライフ、ここに開幕!!.