「ダークファンタジー」とは魔法や空想の世界を具現化したファンタジー作品の中でも、悲劇的であったり残酷・過激な描写のある暗い雰囲気の作品のことを指しています!今回紹介させていただく作品も、異世界ものや吸血鬼ものなどファンタジー作品定番の要素を扱いながらも、単純な勧善懲悪ではないほの暗く重厚なストーリーのものばかり!ファンタジーらしい現実にはない設定と現実的な醜さのギャップ両方が描かれています。
ドロヘドロ 1
少年・青年マンガドアによって隔てられた2つの世界。「魔法使い」の世界の住人の魔法によって頭をトカゲに変えられた記憶喪失の男・カイマンは本来の姿と記憶を取り戻すため、友人のニカイドウとともに魔法使いを狩っていく。カイマンとは何者なのか。口の中の男はいったい何なのか。など展開が読めない多すぎる謎に最初は戸惑うものの、気づけば独特の異次元の空間と唯一無二の世界観に没頭してしまいます…!魔法使いと聞くとファンシーなイメージを持つ方も多いですが、『ドロヘドロ』の魔法使いは全く新しい存在で、ダークファンタジーらしさを持った存在になっています。気軽に読めるというよりはじっくり腰を据えて読んでいただきたい作品です!
黒博物館 ゴーストアンドレディ(上)
少年・青年マンガ“かち合い弾”と呼ばれる謎の銃弾がイギリス・ロンドン警視庁の犯罪資料館「黒博物館」に展示されていた。ある老人がそれを見せてほしいと訪ねてきたとき、その正体を知ることとなる。歴史的大事件の裏の不思議な戦いと冒険…!藤田和日郎先生の『黒博物館』シリーズの一作品です。ナイチンゲールをはじめとした実在の人物や事件のような史実の出来事を織り交ぜつつ、かっこいいバトルファンタジーも堪能できます!心に闇を抱えながらも芯の強い女性・ナイチンゲールと、彼女に取り憑いた演劇好きで殺し屋の幽霊がはいったいどうなるのか。演劇好き幽霊がよくシェイクスピアの戯曲の台詞を引用するのでそこにも注目してください。
東京喰種トーキョーグール 1
少年・青年マンガ人を食糧とする正体不明の怪人「喰種(グール)」。彼らは普段は人間と同じ形をとっており人間社会に紛れ込んでいた。大学生の青年・カネキは好意を寄せていた喰種の少女・リゼと一緒に事故にあい、彼女の臓器を移植したことで彼自身も半喰種となってしまう。ある日突然、人間から人間を食べなければ生きていけない存在になってしまったカネキの運命。そして彼の苦悩や葛藤、人間と喰種との抗争など一口には語り切れない深い物語です。また脇役キャラクターも喰種、人間それぞれが信念を持ち、自らの立場と悲惨な現実の間で揺れています。激しいバトルとストーリー展開の中でもそれぞれのキャラクターの心理描写が丁寧なのところもおおきな魅力です!
亜人(1)
少年・青年マンガ17年前のアフリカのとある戦場。そこで死ぬことがないという新生物「亜人」が確認された。世界中が混乱に陥りるものの、不死身なこと以外は普通の人間と変わらないと知ると騒ぎはだんだんと収束していった。日本人の高校生・永井圭(ながいけい)は夏休み直前、トラックに轢かれて轢死したと思われたがすぐに生き返った。かれは亜人だったのである——。見た目は全く同じなのに”人間ではない”ことが分かったとたんに、主人公・圭にとっての世界が正義を無くし、変わってしまう衝撃的な印象を受けます。圭自身もすこしづつ亜人としての自覚が芽生え、だんだんと人ならざる者になっていく異様さにもゾクゾクします。アニメや実写映画化もされ大きな話題になりました。
メイドインアビス(1)
少年・青年マンガ世界にただひとつ残された、未だ底知れぬ巨大な縦穴『アビス』。その大穴の周辺にはアビスの探検を担う「探窟家」たちが生活していた。オースの孤児院に住む少女・リコは母のような探窟家を目指す、探窟家見習いだった。ある日の探窟で、リコは少年そっくりのロボットが倒れていたのを見つける…。ストーリーも世界観も独創的でありながら、なかなか残酷な展開も。かわいらしいタッチのイラストに対して、しっかりダークファンタジーらしい過酷な世界の描写のミスマッチさがまた面白く、どんどん先を読み進めたくなります。設定もかなり細かく作りこまれているので改めて読み返してもまた新たな発見があります!
終わりのセラフ 1
少年・青年マンガウィルスによって大人たちが死に絶え人口が激減し社会が崩壊、さらに残された子供たちは吸血鬼たちの棲む地下にとらわれ、血液を提供させられていた。吸血鬼に家族を殺され、自分だけ地上に生還した主人公・百夜優一郎(ひゃくやゆういちろう)は復讐を果たすため、死んだ家族が吸血鬼になったことを知らないまま、帝鬼軍の門を叩く。とにかくビジュアル的なカッコよさがイラストの美しさは驚くほどで、バトルシーンにも迫力があります!主人公にもその他のキャラクターもシンプルでありながら個性もあり、魅力的です。王道で壮大なダークファンタジーでありつつ、新しさもあるのでダークファンタジー好きには必ずオススメしたい作品です!
ゴブリンスレイヤー 1巻
少年・青年マンガ最下級モンスターと知られるゴブリン。しかし一匹でなら大した脅威にもならない存在のゴブリンは、油断すれば群れをなして残忍狡猾な方法で冒険者たちを陥れ村を壊滅させるほどの脅威になりうる存在だった。そんな”ゴブリン専門”銀等級の冒険者ゴブリンスレイヤーと名乗る男がいた。新米の女神官らとともにゴブリン討伐に向けて冒険に出る。多くのゲームでは、序盤に登場し手こずることなく倒せるのがゴブリンですが、『ゴブリンスレイヤー』では目をそむけたくなるほどに残忍で狡猾なモンスターです。とはいえゴブリンスレイヤー自身のゴブリン殲滅への執着の強さも常軌を逸しているほどで、ただの勧善懲悪のストーリーではないところが魅力です。
かつて神だった獣たちへ(1)
少年・青年マンガかつての内戦の時代、禁忌の技術によって生み出された異形の兵士「擬神兵」。戦乱から平和の時代に導くきっかけになったことで「神」とあがめられていたはずが、時がたちいまや「獣」と呼ばれている…。擬神兵の父を殺された少女・シャールは父の死の理由を探るため父を殺した男・ハンクに会う。国のため、人のために人間の姿を失ってまで戦った兵士たちが差別を受け、居場所がなくなっている現実が切なく物悲しい悲劇そのものです。一見するとみにくいのは異形となった擬神兵たちのほうなのですが、彼らを迫害する人間の醜さや弱さが描かれています。『黄昏乙女×アムネジア』のめいびい先生の作品です。
HELLSING(1)
少年・青年マンガ20世紀末の英国が部隊。不可解な吸血鬼事件が多発した。そこでバケモノを狩る王立国教騎士団・通称「HELLSING機関」が結成された。その一員・アーカードは吸血鬼討伐のエキスパートでありながら、彼自身も不死身の体を持つ吸血鬼だった——。団長・インテグラルの指揮のもと、吸血鬼を倒してゆく。吸血鬼という同じ種族でありながら敵対して戦うという王道の展開にも思えますが個性的なイラストと作りこまれた世界観で唯一無二の作品だと思いました。特に戦闘シーンには迫力があり圧倒されます!吸血鬼だけではなく、死なない神父など「普通の人」がいないように感じるほどキャラクターの個性が強いのも魅力です。
ベルセルク(1)
少年・青年マンガ中世ヨーロッパの「剣と魔法の世界」が舞台。剣士・ガッツは身の丈を超えるほどの大きな剣を手にして復讐の旅を続けていた。中世ヨーロッパとはいえ、よくイメージされる華やかなものではなく、戦争が後を絶たない、日々町のどこかで暴力事件の起きそうなほのくらい空気が立ち込めたリアルな世界です。鉄の塊のように見えるほどの大剣を持ったガッツの壮絶な生き様は、三浦建太郎先生の迫力のあるイラストとマッチしていて世界観に没入できます。彼が抱える悲しみの深さと彼自身も罪を抱えています…。40巻を超える長編ダークファンタジー作品でこれまで2度にわたりアニメ化もされ大ヒットしているのですでに知っている方も読み返してみてはいかがでしょうか。