1989年から続いている漫画雑誌『モーニング』には数多くの作品が連載されています。今回はそんな『モーニング』の中でも話題の作品から人気の最新連載作まで、一度は読んでもらいたい作品を紹介します。
ハコヅメ~交番女子の逆襲~
『ハコヅメ』は交番で勤務する2人の女性警官を主人公にした、警察マンガです。 元女性警官の作者によって警察官のリアルな日常が漫画化されている点が特徴で、地方の警察署で発生する小さな事件や、警察組織特有の理不尽さがコミカルに描かれます。 見どころはリアルでありながらキレのあるコミカルな警察官の日常と、ニュースで報道されない町の事件や交通事故の悲惨さが丁寧に描かれている点です。 そのリアルさは警察内部でも評価されており、警察官向けの月刊誌『警察公論』に出向版が連載されるほどです。 2021年の7月にドラマ化され、2021年8月現在5話まで放送されています。読めば警察官を見る目がガラリと変わるでしょう。
イチケイのカラス
犯罪を行った人を裁く、刑事裁判の裁判官を主人公に据えた作品が『イチケイのカラス』です。 2018年5月から2019年の3月まで連載されたこの作品は、東京に実在する武蔵野地方裁判所の第一刑事部、通称”イチケイ”を舞台に、特例判事補の坂間 真平(さかま しんぺい)が成長していくさまを描いています。 個性豊かな登場人物が多数登場することや、普段見ることのない刑事裁判の裏側を見ることができること、そして判決を下す主人公の心情の変化や成長が見どころです。 マンガを原作としたドラマ版は2021年の4月から6月まで放送されました。全11回のドラマ版は主人公が変更になるなどオリジナルの要素が強くなっています。
きのう何食べた?
『きのう何食べた?』は同棲する弁護士と美容師の何気ない日常や、2人の食卓風景を描いたマンガです。グルメ漫画でありながら人間ドラマが濃く描かれる本作ですが、最大の特徴は主人公の2人が同性カップルということです。 とはいえ性的な描写はなく、彼らの日常やパートナーとしての絆が中心に描かれています。彼らのほっこりとする絆や日常、食卓に出てくる美味しそうな食事、そして同性カップルが抱える問題などを丁寧に描いている点が見どころです。 2019年にドラマが放送された際はドラマ化の完成度の高さがSNSで話題となり、2020年にはドラマスペシャルが作成されました。2021年には映画化も予定されています。
この会社に好きな人がいます
社内恋愛はマンガのみならず、映画やドラマなど、さまざまな媒体で人気の題材です。『この会社に好きな人がいます』もまた、そんな社内恋愛をテーマにした作品です。 社内では犬猿の仲として知られるが、実は甘々なカップルである立石 真直(たていしますぐ)と三ツ谷 結衣(みつや ゆい)が、社内の人間にバレないように恋愛をしていく姿を描いています。 見どころは社内でかわされる殺伐とした会話と、2人のときだけの甘々な態度のギャップや、恋人同士であることがバレないように苦労する、2人の初々しい姿です。 また、2人だけの秘密を読者という神の視点で見ることができる楽しさもあります。2021年8月現在、8巻まで発売されています。
アンメット ーある脳外科医の日記ー
身近でありながら生と死が密接に関係する医療の現場は、多くの物語で舞台にされています。『モーニング』で連載されている『アンメットーある脳外科医の日記ー』もそんな医療漫画の1つで、脳外科を舞台にしています。 かつてアメリカで医者として活動していた型破りな脳外科医、三瓶 友治(さんぺい ともはる)を描いた作品で、彼が日本の郊外の病院で患者を救おうと奮闘する姿が見どころです。 空気を読まないマイペースな三瓶が、決めるところではしっかりと決め、患者を救う姿が魅力にあふれています。日本人にとって無縁とは言い難い、脳内血腫や第4脳室腫瘍といった脳に関する病気を丁寧に描く、本格的な医療マンガです。
刷ったもんだ!
世の中にはさまざまな職業があるため、いろいろな仕事をテーマにしたマンガが作られています。『刷ったもんだ!』は生活に関わりがあるものの、どのような業界か分かりにくい印刷業界をテーマにした仕事マンガです。 デザインに関わる仕事がしたい、そして人生をやり直したいという思いから、元ヤンの真白 悠(ましろ ゆう)が印刷会社で苦労したり、感動を覚えたりする姿を描いています。 苦労しながらも一生懸命仕事に取り組む主人公、真白の一途な姿や印刷業界にいる人間なら思わずうなずいてしまうあるあるが、丁寧かつコミカルに描かれているのが見どころです。 過去に印刷会社に勤めていた作者、染谷みのるさんが描くリアルな業界ネタと、コミカルな描写は一見の価値ありです。
サイクリーマン
ここ数年で趣味とする人が大きく増加したサイクリングを描いたマンガが『サイクリーマン』です。 社会人2年目の新人で、かつて自転車選手を目指していた主人公の和田 竹繁(わだ たけしげ)が、久々に自宅の倉庫からロードバイクを引っ張り出し、サイクリングロードに出かけます。そこで、ロード初心者の矢美津 健(やびつ けん)と出会い、意気投合し仲良くなります。 しかし、仲良くなった矢美津は実は和田が務める会社の新しい上司でした。例えるならロードバイク版『釣りバカ日誌』ともいえる作品です。 見どころは上司である矢美津と和田がオフの日にロードバイクを全力で楽しむ姿や、ロードバイクを中心に人間関係が広がっていく姿です。
はじめアルゴリズム
数学に魅了された年老いた数学者と天才的な才能を持つ少年の交流を描いたヒューマンドラマが『はじめアルゴリズム』です。 主人公の一人であり、数学者である内田豊は50歳を迎え、数学者としての限界を感じ取っていました。 そんな内田が故郷に戻った際、かつて自分が通った学校に書き残した未完成の数式を確認したところ、天才的な小学生の関口はじめによって加筆され数式が完成していました。内田はこの数式をきっかけに関口と出会い、数学者人生最後の仕事として、関口を数学者として導くことを決意します。 かつて書き残した1つの数式をきっかけに、正反対な内田と関口が交流を深めていくさまや、楽しそうに2人で数学に打ち込む姿が魅力的な作品です。