｢僕等がいた｣のレビュー・感想

過去の恋愛で傷を負った人気者の少年に、主人公が徐々に惹かれていくところから物語は転がり始めます。
モテモテの彼の気持ちを射止めるまでの葛藤も切ないのですが、やっと成就したと思った恋も、遠距離になる、などの障害が出てきてしまうなど、なかなか「安定した両想いの関係」にはなれません。
もろく移ろいやすい恋愛感情を起点として、ぶつかり合い、ときには傷つけあいながらも信頼関係を築き上げていこうとする二人の姿は涙なしには読めませんでした。

実写映画化もされた本作。
クラスの２/３の女子が好きなってしまうという人気者・矢野がとにかくかっこいい！学生時代にクラスに一人はこういう男子いましたよね。この矢野がなかなかダークな部分も持っているのですが、そこもまた魅力的だったり。
1巻の「バイバイ」のシーンが好きです。こういう何気ないところで意識し始めちゃうというのが少女マンガならではないでしょうか。遠足や文化祭、すべての学校行事がドキドキだったあの頃が懐かしい！

初恋と大人の間で揺れる、微妙な高校時代の恋愛を描く感動作品。学生の頃、一度は読んだことあるというアラサー女子も多いかもしれません。
恋愛の経験が少ないからこそ、迷うことや悩むこと、嬉しいことを、改めて思い出させてくれる『僕らがいた』。人を想うって、好きになるってこういうことだったなあ……なんて思い出すことができるのではないでしょうか。

成績トップでクラスの女子の三分の二が好きになったことがあるというスクールカースト最上位のイケメンが恋してくれるお話です。
そう聞くと甘々でベタなラブストーリーを想像するかと思いますが、まったくそうではなく、彼にはある心の傷があり、恋の成就は一筋縄ではいきません。
繊細な心理描写や、ちょっと影のあるイケメンが好き、という方におススメの一冊です。