｢日日（にちにち）べんとう｣のレビュー・感想

あなたはお弁当生活してますか？恥ずかしながら私は一ヶ月も続いた試しがありません…。
でも、この物語の主人公は毎日毎日どんなに忙しくてもお弁当を作り続けているのです。
生活も実に質素、テレビもネットもしない変わり者女子なので、欲のない生活っぷりを見習いたいくらい。
そんな彼女にも生い立ちが複雑だったりするのですが、それでも毎日変わらぬテンポでお弁当を食べる姿にほっこりさせられます。

禅寺で育った主人公・黄理が毎日作るわっぱ弁当のお話です。
「毎朝、体の声を聴いてご飯を炊く」って、憧れるけれど、そこには知識と共に心のゆとりが無いと出来ない事だと、大人の皆さんはおわかりですよね。
この本の魅力は、実はお料理だけではありません。黄理や御住職のお言葉が（やや説教臭いときもありますが）深く沁みるんです！
心に余裕があれば真似をして、出来なかったら真似しない、そんな無理のない真似っこがしたくなる作品です。

「名は体を表す」ではないけれど、お弁当ひとつで食の好み、体調、お財布状況、美的センスがわかる。
杉でできたワッパの古典的なお弁当箱を使う主人公のお弁当は季節のものが入っていて、質素。きちんと土鍋でごはんを炊いて、おかずも手作りで。日本人の鏡のような和食。
お弁当や食べ物を中心にゆったりと流れるコニュミケーションが心地いい作品です。