シリアスにも色々な種類があり、色々なところから攻め立てられる、まさに不思議な感覚。この感覚はきっと病みつきになるはず。
さあ、あなたも病みつきになろうか。
たった一つの出来事で、ここまで変わってしまうのか…。というのが率直な感想で、憎しみや妬み、独占、そして、片思いだった女の子の本質を知り、そのために自らの手を汚しているシリアスで毒々しい恋愛マンガである。
良い意味で心が締め付けられ、悲しい気持ちにもなる不思議な感覚のマンガである。
「ひとつばな」というタイトルの意味はこのマンガを読めば本質が分かるはずだ。
ある日突然、小学生の女の子に監禁されてしまう大学生の男の子のマンガである。しかし、これだけ聞くと「なぜ、小学生が監禁を?」とか、「簡単に逃げられたのでは?」という疑問が出ると思うが、全巻を読むことによってこのマンガの本質が分かるだろう。
不可解で、ミステリアスな状況。そんな「少女不十分」の世界へ足を一歩、踏み入れて欲しい。
これほどの極限状態に追い込まれれば追い込まれるほど、「寿命」を売ることなど容易いことなのかもしれない。そんな生きる気力もない男性と、監視員の女性との不思議でシリアスな日常。
残り少ない日数をどのように使うのか。無気力なまま、過ごしていってしまうのか。それとも、生きる意味を見出すことができるのか。
それとも…?
そんな混沌した世界でお送りする、不思議な魅力を感じさせるマンガである。
バイオレンスな表現があるため少し心が痛み苦しむが、かつて自分がされ続けていた「いじめ」に対する憎悪や憤りを忠実に、かつ現実的に表現している。
しかし、このマンガは「いじめ」に対する復讐を表現しているわけではない。では、タイトルにある「青春」の意味は何か?「暴力」から「復讐」へ。
そして「青春」への流れを1巻完結ながらも壮大なボリュームでお送りしている。
シリアスよりも、アブノーマル度が強めな恋愛マンガ。正直、好き嫌いがハッキリと分かれるかもしれないが、「普通」に飽きた方へは特にお勧めしたい、是非とも読んでいただきたいと思う。
ただ、そこだけが注目するところではなく、他の登場人物のキャラクターが確立されており、そこが良い意味で緩和され、全体の雰囲気を、シリアスなのに可愛さもあるという、絶妙なバランスで綺麗にまとめ上げられている。