【ネタバレ】映画化『先生の白い嘘』あらすじや魅力を紹介！

男女間の性の格差や、人間の心の奥に潜む醜さを緻密に表現した人間ドラマです。自らの性に対して抱く矛盾した感情をテーマにしており、あまりにもリアルで刺激的な感情の描写にネット上では口コミが殺到し累計100万部を超える話題作となっています。全8巻で完結済みです。

2024年7月5日に実写映画がロードショー予定。キャストには奈緒（なお）さんや猪狩 蒼弥（いがり そうや）（HiHi Jets）さん、風間 俊介（かざま しゅんすけ）さんなどが出演。 年齢制限R+15指定作品となっています。

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衝撃作といわれた本作のあらすじを紹介していきます

高校教師である美鈴（みすず）は教師という高みの立場から生徒を見下すことで自尊心を満たす日々を送っていました。しかし美鈴はとある過去から、女という性である故の生きづらさを抱えていました。

ある日美鈴は親友の美奈子（みなこ）とその彼氏である早藤（はやふじ）が婚約したことを告げられます。しかしその早藤こそ、美鈴の自尊心を剥ぎ、男への嫌悪感を抱かせた張本人であったのです。 大学時代に美奈子の彼氏として早藤と知り合った美鈴は、とあるきっかけで早藤からのレイプ被害を受けていたのです。その時美鈴は、「全ては自分が女だから、男の力を前に女は『自由』を奪われるしかない」と感じていました。その日を境に、女が正しく生きられないのは男女の性という間に圧倒的な不平等さがあるからだと悟ります。 その一件から早藤に対し嫌悪感を抱く美鈴ですが、彼への恐怖心によりその後も体の関係を持ち続けているのでした。

ある日、美鈴の生徒である新妻（にいづま）が人妻と不倫をしていたという噂が学校中に広まり、そのことについて二人で話すことになります。 新妻はバイト先の店長の奥さんに誘われ二人でホテルに入るが、直前になって思い直し帰ろうとした際に「責任をとって」と責められ、そのトラウマを抱えていたのです。それ以降女性に恐怖心を抱き、勃起しなくなった新妻はその悩みを美鈴に打ち明けました。内容だけに真面目に取り合ってもらえると思わなかった新妻ですが、美鈴は「怖いのは女性ではなくいつでも女性の自由を奪える男である自分自身だ」と真剣に本音を打ち明かします。 想定外に美鈴が真剣に向き合ってくれたことや、顧みることのない美鈴の本音に早藤はその場で勃起し、それ以降美鈴を女性として意識し始めます。

学校の休み時間中に呼び出された美鈴はその日も早藤に襲われていました。授業の時間になったので行こうとすると、「足開いて、写真撮るから」と脅されます。授業に遅れていたため仕方なく要求に応え、急いで身支度をして教室に向かった美鈴でしたが、慌てたあまりにシャツのボタンを掛け違えていたことを生徒の三郷（みさと）に指摘されてしまいます。さらに、早藤からメールでその日撮った写真が送られてきたのを偶然新妻に見られてしまうのでした。

新妻はクラスメイトのミカに告白され付き合い始めていましたが、そのメールで先生が誰かに脅されていると悟り、彼女を救いたいと願いはじめます。 三郷はそんな新妻の気持ちや美鈴の異変に気付いていたため、新妻に声をかけ二人で先生を救おうと提案します。美鈴を救うため奮闘する新妻ですが… 様々な傷を抱えた登場人物たちが交り合いながら、レイプという同様のきっかけから同じ傷を抱えた美鈴と新妻の二人がそれぞれの恐怖心と向き合っていくうちに惹かれ合う物語です。

登場人物たちの本音と建て前や抱える矛盾が交錯する複雑な作品ですが、描写があまりにもリアルであることが本作のすごさのひとつです。

美鈴は早藤との一件により女性の自由を奪う男に対して憎悪を抱き、早藤は圧倒的な暴力で女性を支配するも、それすら思い込みで愛だとも勘違いできてしまう女性に対して憎悪を抱いています。また新妻も、美鈴を救いたいが美鈴を傷つけているそのものの「男」であるという事実から逃れられず、自身を忌み嫌います。 しかし美鈴は早藤に怯え要望に応えながらも、少なからず性的な快楽を覚えてしまっていました。心とは裏腹に体は快楽を求めてしまう美鈴は心と体が切り離されたような葛藤の日々を送ります。 また、あくまで加害者という立場で強大な支配欲をもつ早藤ですが、彼もまた幼少期に母がDVを受けている様子を目の当たりにするというトラウマを抱えています。そういった過去から男は力で女を抑圧する生き物で、また自分も男であるという意識から、嫌悪感を抱きながらも支配することで自らの存在を示そうとしていたのではないでしょうか。 彼らが抱えるどうしようもない憎しみとそこに相反する快楽や感情をぬぐい切れない矛盾がリアルに描かれています。

いかがでしたでしょうか？ 性というデリケートなテーマについて深く鮮明に描き、目を背けたくなるような矛盾や葛藤を取り扱った本作に心抉られる人も多いのではないでしょうか。 彼女たちがどう向き合い乗り越えていくのか、ぜひ読んでほしい一作です。