ファンタジーな世界観でありながら、異色のグルメマンガでもある『ダンジョン飯』をご存じでしょうか?魔物の食べ方を丁寧に描く、一風変わったテイストの本作ですが、たくさんの魅力が詰まっています。登場人物や作品の見どころを紹介します。
「ダンジョン飯」とは
ファンタジーとグルメが混合した新感覚マンガで、このマンガがすごい!2016でオトコ編1位を獲得しました。 2023年9月に発売された14巻で完結し、2024年1月から連続2クールでアニメ化されています。
「ダンジョン飯」あらすじ「ネタバレなし」
「ダンジョン飯」は、その名の通りダンジョンを舞台にした物語です。どんな内容か、序盤のあらすじを紹介しましょう。
ダンジョン深部に残された妹「ファリン」
ある小さな村に出現したダンジョンを探索していた主人公パーティーは、強敵であるドラゴンと戦っていました。準備は万全のはずでしたが、戦闘中にある違和感を覚えます。それは空腹でした。 地図の書き間違いや道中の罠で、数日分の食料を失った彼らは飢えで動きに精彩を欠きます。主人公がドラゴンを倒したら一旦引き返そうかと考えていた隙に、ドラゴンが襲いかかりました。 主人公は食べられてしまいそうになりますが、妹のファリンがそれをかばい、ドラゴンに食べられてしまうのでした。飲み込まれる直前、ファリンは最後の力を振り絞って脱出魔法を唱え、主人公パーティーを地上に逃がします。
妹を救うために再びダンジョンに
主人公たちが目覚めた時は、既に地上でした。妹が消化されてしまう前にすぐダンジョンに戻り、助けに行こうとしますが、問題が発生します。 荷物のほとんどをダンジョンに置いてきたため、一文無しの状態だったのです。さらに、パーティーの中から2名が脱退を申し出て一行から抜けてしまいます。 お金の問題に頭を悩ませつつも、一刻も早く救助するためダンジョンに潜ろうとする主人公ですが、前回と同じ過ちを繰り返さぬよう、空腹だけはどうにかしなければと考えるのでした。
お金がないからダンジョンで自給自足
金欠だけど、しっかり食料は確保したいと考えた主人公が出した結論は、ダンジョン内で食材を調達し、自給自足するという方法です。 ダンジョン内には魔物が溢れており、肉食や草食の魔物もいることから、生態系が存在していると判断し、そこに自分たちも加わることになります。 主人公は早速、遭遇した歩き茸を捕まえ、これを食べてみようと提案します。最初は強い拒否反応を示す仲間たちでしたが、次第に受け入れていき、魔物を食べながらダンジョンに潜る旅が始まるのでした。
魅力的なキャラクターたち
本作で活躍する主人公パーティーの面々は、個性豊かでどれも魅力があります。作中でキーパーソンとなる存在と併せて、登場人物を紹介しましょう。
ライオス
主人公の男性で、トールマンという体格の良い種族です。鎧を身にまとい、剣を武器に戦います。 それなりに戦闘力もあり、仲間のため危険に立ち向かう勇敢さもありますが、魔物に対する好奇心が異様に強いという一面を持っています。魔物が絡むとテンションが一気に上がり、度々周りを引かせています。 元々魔物に興味があったため、それを食すことにも抵抗がありません。魔物の知識が豊富なので、それを活かした戦闘も行いますが、一方で好奇心が災いし、危ない目に遭うこともあるようです。
マルシル
ハーフエルフの女性で、パーティーの魔法使いとして活躍しています。攻撃魔法はもちろん、回復も行うことができるなど豊かな才能を持っています。 性格は感情豊かで、仲間思いな人物です。うっかり屋な面もありますが、基本はしっかりしており、ライオスの言動に度々つっこみを入れたりもしています。 魔物を食べることには最初強く抵抗していましたが、空腹に耐えきれず口に入れてからは、徐々に抵抗感が薄れていったようです。
チルチャック
ハーフフットという、小柄な体格をした種族の男性です。身軽さと鋭い感覚が武器で、罠の解除や安全ルートの確保を担当しています。 パーティーの中でもかなり常識的な性格で、冷静なキャラクターです。自身のプライベートな部分をあまり話すことがありませんでしたが、物語が進むにつれ、その意外なプロフィールを少しずつ教えてくれるようになります。 魔物を食べることについては、マルシルほど拒否感はなく、早い段階で受け入れていたようです。なお、酒好きなキャラクターとしても描かれています。
センシ
ドワーフ族の男性で、身長は低いですが体格は良く、力持ちです。魔物を食べる方法について長年研究しており、初めにライオスたちが魔物を食べようとした場面に遭遇し、彼らに正しい食べ方を指南したことがきっかけで仲間入りします。 食事の大事さ、正しく栄養を摂取することにこだわりがあり、食を疎かにする者に対しては厳しい言動を取ることもあります。また、魔法を嫌っており、マルシルの魔法を最初は受け入れようとしませんでした。
ファリン
トールマン族で、ライオスの妹です。魔法使いとしてパーティーで活躍、特に回復系の魔法に優れていました。ドラゴンとの戦闘時に兄のライオスをかばって食べられ、救出する間もなく仲間たちをダンジョンから逃がしました。 優しく他人を思いやれる性格で、マルシルとは同じ魔法学校を出ており仲の良い友人関係でした。 一方、好奇心の強さは兄のライオスと似ており、想定外の言動で周囲を驚かせることもあるようです。
狂乱の魔術師(きょうらんのまじゅつし)
ライオスらが潜るダンジョンの主で、当初その姿や人物像は、謎に包まれていました。 物語が進んでいくと、ライオスたちと相まみえることとなり、激しく戦いを繰り広げます。魔物を使役して戦わせることが得意で、その力はダンジョンの主として相応しいほど強力なようです。
「ダンジョン飯」の見どころは?
本作の見どころは、ユニークな世界観やキャラクター同士のやり取り、そして登場する数々の「ダンジョン飯」でしょう。それらについて説明していきます。
細やかな設定が活きる本格ファンタジー
最初はあまり多くの情報が明かされず、そこにあるものとして描かれていたダンジョンでした。しかし話が進んでいくにつれ、なぜダンジョンが生まれ、その主がどんな理由で魔物を使役しているか、などが明らかになっていきます。 さらには種族の違いや、ダンジョンに対する考え方の違い、ダンジョンを制覇したらどうなるかなど、食以外の要素でも目を引く描写が多く、本格的なファンタジーマンガとして楽しめるでしょう。
美味しそうなモンスター料理
タイトルにある通り、ダンジョン内で食事を取ることがメインのマンガですので、その料理描写はかなり細かく描かれています。 スライムはどうすれば美味しく食べることができるか、人食い植物の材料や味付けはどうすれば良いかなど、他のマンガにはない発想と描写で楽しませてくれます。 レシピがしっかり載っているのも面白くいポイントです。それが載っていたからといって読者が真似してつくれるなんてことは一切ないのですが、レシピが丁寧に記載されていることで、料理が実在するかのように見えてくるのがユニークです。
個性豊かな登場人物の掛け合い
魔物への好奇心が異様に強いライオスを中心に、登場人物たちは癖が強いキャラクターが多く、道中ではナチュラルにボケとつっこみが繰り返されます。 特に、ライオスは空気を読むことが苦手で、他人の気持ちを考えず失言してしまうことが多いため、周りを呆れさせたり怒らせたりするという、主人公にあまりないタイプのキャラクターです。 シリアスな展開もありつつ、そういったコメディ部分も楽しむことができる点も魅力の一つでしょう。
ファンタジー世界の食文化を楽しもう
魔物がはびこるダンジョンの中で、どうすれば食糧難にならず生きていけるかをテーマにした本作は、独特の食文化を堪能できる、発想力の豊かなマンガです。 グルメマンガが好きな人はもちろん、ファンタジーマンガが好きな人、コメディが好きな人も楽しめる作品となっていますので、まだ読んだことがない人はぜひ、『ダンジョン飯』を読んでみてはいかがでしょうか?