『野ブタ。をプロデュース』は小説もドラマも有名な作品で、2000年代初頭には一大ブームを巻き起こしました。そして実は、マンガ化もされています。ここではマンガ版のあらすじと登場人物の紹介、また小説・ドラマとの違いについても解説します。
「野ブタ。をプロデュース」のあらすじ
まずはマンガ版『野ブタ。をプロデュース』のあらすじをざっくり追ってみましょう。 小説やドラマと共通するところもありますが、異なる点もいくつかあります。小説を過去に読んだことがある人、ドラマを見たことがある人は、比較してみると驚くことが多いかもしれません。
「野ブタ。をプロデュース」のあらすじ
まずはマンガ版『野ブタ。をプロデュース』のあらすじをざっくり追ってみましょう。 小説やドラマと共通するところもありますが、異なる点もいくつかあります。小説を過去に読んだことがある人、ドラマを見たことがある人は、比較してみると驚くことが多いかもしれません。
転校生・信太がいじめのターゲットに
高校2年生の桐谷修二はイケメンで、学業もスポーツも得意なクラスの人気者です。 しかし、本当は内気で人付き合いも苦手だと自覚しています。小学生時代に、クラスで孤立してしまった辛い思い出がトラウマになっているからです。 そのため学校内で自分の居場所を確保しようと、"誰からも愛されるキャラ"を毎日必死に演じるとともに、誰とも程よい距離感をキープし続けているのでした。 ある日、典型的な"いじめられっ子キャラ"である信太が転校してきます。信太がクラスから孤立し、いじめの標的にされるまでに時間はかかりませんでした。 不良に殴られているところを助けたことで、修二は信太から弟子にしてほしいと懇願されます。
信太を人気者のプロデュースしていく修二
修二は弟子ではなく、信太を人気者になれるよう"プロデュース"することを提案します。 実は修二の心の中は、「周りの人に本当の自分を見抜かれているかもしれない…」という不安でいっぱいです。 「嫌われ者を人気者へと変えることができたら、自分の人をだます能力が本物である証明になるはず」と考え、信太のプロデュースを開始します。 まずは信太を坊主頭・コンタクト姿に変え、洗顔や体臭にも気を使うようにアドバイス。次に、クラスの中で笑いと注目を集められるシーンを演出したり、不良のパシリ役を徹底させたりと、"デブだけど清潔感あふれる、いじられキャラ"を目指すのでした。
修二はクラスの中で孤立
プロデュースは見事成功します。信太は生まれて初めて友達ができ、自分にもやっと自信を持てるようになったのです。 やがて、学校は春休みに入りました。自分ではない自分を演じることに疲れた修二は、誰とも連絡を取らないままです。 そんなとき、コンビニで立ち読み中に、外で誰かが殴られているのを見かけます。心が痛みながらも、「休み期間にまでキャラを演じたくない」と見て見ぬふりをする修二でした。 新学期が始まり学校に行ってみると、殴られていたのはいつもつるんでいる森川だったことが判明します。"友達を見捨てた奴"として、修二は周囲から孤立してしまうのでした。
自分や周囲と向き合うように
周りに自分の本性を悟られてしまったと、修二は絶望します。いつも恐れていたことが、ついに現実になってしまったのです。 修二がクラスのみんなからあからさまに冷遇される中、信太とマリ子だけは優しい言葉で救いの手を差し伸べようとします。しかし自分の殻に閉じこもり、ひどい暴言で2人を突っぱねてしまう修二でした。 「自由は孤独だ」もう"着ぐるみ"が不要だと安堵する反面、修二は独りぼっちの辛さをひしひしと感じます。そんな修二に対して、信太とマリ子が取った行動とはなんだったのでしょう?
主要登場人物
新学期が始まり学校に行ってみると、殴られていたのはいつもつるんでいる森川だったことが判明します。"友達を見捨てた奴"として、修二は周囲から孤立してしまうのでした。
自分や周囲と向き合うように
周りに自分の本性を悟られてしまったと、修二は絶望します。いつも恐れていたことが、ついに現実になってしまったのです。 修二がクラスのみんなからあからさまに冷遇される中、信太とマリ子だけは優しい言葉で救いの手を差し伸べようとします。しかし自分の殻に閉じこもり、ひどい暴言で2人を突っぱねてしまう修二でした。 「自由は孤独だ」もう"着ぐるみ"が不要だと安堵する反面、修二は独りぼっちの辛さをひしひしと感じます。そんな修二に対して、信太とマリ子が取った行動とはなんだったのでしょう? クラスメイトなど多くのキャラクターが登場しますが、ここでは主人公・修二と、その助演役ともいうべき重要なポジションを占める信太の2人にスポットを当てます。 2人の共通点と相違点についてそれぞれ考えてみると、物語の展開やテーマを理解する上で役立つでしょう。
桐谷修二(きりたに しゅうじ)
17歳の高校2年生男子で、物語の主人公です。成績優秀、スポーツも得意、明るい性格、その上イケメンでもあり、クラスの人気者としてスクールカースト上位に位置します。 しかし、実は過去に友達だと思っていた女の子に裏切られたり、クラスの中で孤立したりした辛い過去を持っていたのです。 本来はシャイで人付き合いが苦手な性格だと自覚しており、本当の自分を知られることを極端に恐れています。友達や恋人に対しても、心の中では冷めた目でしか見られません。
小谷信太(こたに しんた)
修二と同じく17歳の高校2年生男子です。2年生の3学期という中途半端な時期に、修二のクラスへと転校してきました。 デブ、ボサボサの髪、脂ぎった顔、ブレザーに落ちるフケ、もっさり鈍い動作など、典型的な"いじめられっ子"の風貌をしています。前の学校からも、いじめが原因で転校してきたのでした。 友達ができたことが一度もなく、過去ずっといじめられてきたことで自信が持てず、いつもオドオドしていますが、実は温和で素直、そして優しい心の持ち主です。
「野ブタ。をプロデュース」の原作は小説
『野ブタ。をプロデュース』の作品はこのマンガの他、小説・テレビドラマにも枠を広げました。 同名のマンガと小説、あるいはドラマには、どのような関連性があるのでしょうか?詳しく見てみます。
マンガは原作のコミカライズ版
マンガ『野ブタ。をプロデュース』は、元々小説だったストーリーをコミカライズ(マンガ化)したものです。テレビドラマについても、同様に小説を基にして制作されました。 この物語の原作者は白岩玄さんで、執筆した当時は弱冠21歳という若さでした。デビュー作にもかかわらず文壇で高く評価され、2004年に『第41回文藝賞』を受賞、翌年2005年には『芥川賞』候補にも選ばれています。 マンガ版の作者は森脇葵さんです。主なストーリー展開は原作と同じながら、小説とはまた違うテイストの修二像で、より人間臭く繊細、そして優しさも併せ持つ少年として描かれています。
ドラマとの違いを紹介
『野ブタ。をプロデュース』の小説とドラマにはさまざまな相違点があり、比較されることも少なくありません。特にエンディングが大きく異なっているため、「あまりの違いにショックを受けた」という人も多いでしょう。 ではこのマンガ版と小説版、そしてドラマ版とを比べた場合ではどうでしょうか?それぞれの違いについて、三つのポイントでまとめました。
彰が出てこない
テレビドラマでは、小説には登場しない"草野彰"というキャラクターが重要な役割を果たします。いつも回りを気にする修二とは対照的で、自分の意見を持ちそれに基づいて行動するタイプです。 小説と同様、マンガ版にも彰は登場しません。また小説・マンガ版では修二が単独でプロデュースしますが、テレビドラマでは修二と2人の共同作業となっており、かなり大きな相違点といえるでしょう。 なお、ドラマでは修二には弟がいる設定でしたが、小説・マンガともに弟は存在しない点も異なります。ドラマはより登場人物が多く、相関関係も複雑です。
「野ブタ」は原作では男
ドラマでは、プロデュースされる転校生"野ブタ"は女子となっていましたが、オリジナルである小説、そしてマンガ版では男子生徒となっています。 "野ブタ"とは、信太と黒板に書かれた名前を、修二が"のブタ"と読んだこと、また信太のルックスがブタのようだったことから付いたあだ名でした。 小説・マンガでは修二と信太という2人の男子生徒同士の関係性を描きますが、テレビドラマでは男女の恋愛関係を絡めた上、さらに彰を登場させ三角関係のような要素が取り入れられました。
展開や結末にも大きな違いが
"桐谷修二"という名の高校生が、さえない転校生をプロデュースして人気者にしていく、という大筋の内容はどの媒体に共通するものです。 しかし、小説・マンガでは修二と信太の友情をメインに描いているのに対し、ドラマでは修二と彰の友情の話にすり変わっています。友情を築く対象が異なるのです。 そして違いが最も顕著なのは結末です。マンガ版はかなり原作小説に近い展開ではありながら、エンディングは大きく変更されています。 暗い未来しか予感できない小説とは違い、何か明るさを感じさせる結末です。修二のように友人関係に悩む読者にとっては、希望が持てるラストといえるでしょう。 ドラマとも小説とも違う独自の結末に、びっくり仰天する人も多いに違いありません。
小説ともドラマとも違う結末を読もう
『野ブタ。をプロデュース』は、人気者の男子高校生がいじめられっ子の転校生をプロデュースする学園物語です。 オリジナルは小説で、そこからそれぞれテレビドラマ化・マンガ化がされました。同じルーツを持ちながら、それぞれストーリー展開や結末が大きく異なる点は興味深いところです。 マンガ版のエンディングは、小説ともドラマとも異なります。原作やドラマでなじみのあるストーリーがどう変わるか、ぜひ読んで確認してみましょう。