1981年から『りぼんオリジナル』で連載がスタートし、複数の雑誌をまたぎ長期にわたって掲載された本作。一条ゆかり先生による傑作漫画です。ドラマ化もされ、赤西仁や鈴木えみなどのキャストが出演しました。そして1986年には講談社漫画賞少女部門を受賞しました。一条ゆかり先生の特徴的な華麗さ漂うイラストに加え、オムニバス形式のドタバタコメディとして人気を博し『りぼん』を代表するご長寿マンガとなっています。
「有閑倶楽部」とは?
暇を持て余す聖プレジデント学園のセレブ・有閑倶楽部に属する6人の男女が、難関事件を解決していくコメディ。学園モノでもありながら、政治や国際問題なども絡んでいくハードボイルドな一面もある。有閑倶楽部は本来生徒会だが、あまり機能はしていない。メンバー全員がスーパーセレブで、それぞれの両親は財閥会長に警視総監、病院の院長に宝石商と多方面の大御所たち。そんな親の力も存分に使いつつ、セレブならではのやり方で次々と事件を解決していく。メンバー自らが事件に巻き込まれることも多い。
あらすじ
聖プレジデント学園の名物生徒会「有閑倶楽部」。メンバーは会長の菊正宗清四郎を筆頭に、松竹梅魅録・美童グランマニエ・黄桜可憐・白鹿野梨子・剣菱悠理といずれもひとクセあるやつばかりで!?
登場人物
剣菱 悠理
有閑倶楽部メンバー。日本屈指の剣菱財閥の令嬢で、男まさりな元気系キャラ。有閑倶楽部のムードメーカー的存在。運動部の部長でもあり、ズバ抜けた運動神経を持つ。女性らしいことが苦手で大食い。 魅録とともにロック同好会所属。「ばかたれ」が口癖で、勉強はできないがカンは鋭い。
菊正宗 清四郎
有閑倶楽部メンバーで生徒会長。知的で有閑倶楽部のブレイン役。大病院の御曹司であり、UFO研究会や囲碁倶楽部などいろいろな部に所属する多趣味人。文武両道でマジメキャラだが、自分以外のメンバーにはとんでもないことをさせる一面も。頭がよすぎるゆえに気が使えず冷酷だと思われてしまう。
白鹿 野梨子
有閑倶楽部メンバー。日本画の大家を父に持ち、母親は茶道の家元という伝統的な文化系一家のお嬢様。文化部部長であり、囲碁倶楽部にも所属しているため清四郎とよく囲碁をしている。黒髪ストレートがトレードマークで、教養が深い大和撫子。男に興味がないがモテる。影のあるキャラクターだが毒舌家。
松竹梅 魅録
有閑倶楽部メンバーで生徒会副会長。警視総監の息子だが名の知れた不良生徒でヤクザにも顔がきく。母も旧華族の出身で倶楽部の中ではサブリーダー的な存在。悠里と同じロック同好会に所属。バイクなどの機械いじりが好きでミリタリーマニア。実はメンタルが弱い。
黄桜 可憐
有閑倶楽部メンバーで生徒会経理。宝石商を営む母との母子家庭。高校生とは思えない抜群のプロポーションと美貌が自慢で、有閑倶楽部ではお色気担当。社交倶楽部所属。第1巻では母の宝石を巡ったトラブルに見舞われ窮地に立たされることに。
美童 グランマニエ
有閑倶楽部メンバーで生徒会書記。在日スウェーデン大使の息子で、美貌が自慢のナルシストでプレイボーイ。口がうまく女性の扱いもピカイチなので、よくおとりでターゲットの女性を誘惑している。母が日本人とスウェーデン人とのハーフのためクォーター。社交倶楽部所属。ケンカが苦手で臆病な一面もある。
魅力ポイント
(1)有閑倶楽部の6人のキャラが濃い!
生徒会というのは表だけ。実際は暇を持て余す「有閑倶楽部」!男まさりな元気系悠理、お色気系の可憐、おしとやか清楚系の野梨子の女性は3人。男性は女たらしのイケメン美童、不良系魅録、真面目系清四郎の男性3人。この6人が「有閑倶楽部」のメンバーなのですが、誰もかぶらないキャラ設定がうますぎる!そして1人1人がキャラ立ちしているからこそ6人集まった時のパワーも大きく、より魅力的に感じるのです。 エピソードによって違った人物が物語を引っ張っていくことになるので、読んでいて飽きることもありません。絶妙なバランスでキャラが際立っているので、長寿連載になるのも納得の面白さなんです。 男女3人ずつというと、恋愛に発展するのでは…?と思いがちですが、残念ながらこの作品は恋愛マンガではないのでほとんど恋愛関係になることはありません。 とはいえゼロでもないので、倶楽部の部員同士の貴重な恋愛エピソードは読みどころです。
(2)みんなの力で事件を解決!
毎回様々な事件が起こっていくのですが、1つのエピソードの中にも複数のドラマが盛り込んであります。例えば「エピソード1」では同級生に性的暴行をした政治家への復讐と、可憐の生活を取り戻すために宝石のすり替えを一つのパーティーで同時に行うというもの。バレたらただでは済まないというのにも関わらず、パーティーでなんとも大胆不敵な計画を立ててしまうのです!そのハートの強さは自信に満ち溢れるセレブ育ちならでは。6人それぞれが特技を生かして役割を全うし、解決していく様は読んでいて爽快!
命を狙われるようなピンチの回も多く、勢いとアイディアで立ち向かっていくのですがこれは1人では解決不可能。頭脳派の生徒会長である清四郎が中心となって、色仕掛け担当の美童や可憐がターゲットを誘惑したり、他のメンバーが裏で動いたりと6人それぞれのバラバラな個性が混ざり合って事件を解決していくのです。普通の高校生活では絶対に味わえない「ありえなさ」と「豪華さ」「スリル」、そして「笑い」がこの6人が集まることで増殖していくのです。
(3)世界をまたにかける大騒動コメディは男女問わず読める
「有閑倶楽部」の面白さはただ学園に関するドタバタコメディだけじゃない!ロシアの産業スパイ、中国マフィア、KGBのエージェントと国をまたいだ大騒動も次から次へと起こります。そのスケールの大きさは彼女たちがセレブが故。生まれ持った環境をキッカケに事件へ巻き込まれたりすることもしばしば。普通の少女マンガでは読むことのできないちょっぴりハードボイルドな世界観もあるのです。 モルト王国王女に恋をしたり、数億円を手にして海外旅行に出かけるなど一般庶民ではありえないようなセレブ行動の数々にも驚きの連続! 少女マンガの概念にとらわれない本作は、男性でも楽しむことができますよ。
メディア情報
ドラマ化:赤西仁・鈴木えみ出演 2016年公開
受賞履歴
1986年(昭和61年)- 第10回講談社漫画賞少女部門受賞。
まとめ
セレブによる軽快なドタバタ・コメディ「有閑倶楽部」は、老若男女が楽しめる作品です。マンガを読む時は気分に左右されることも少なくありませんが、こちらの作品はどんな気分の時でも気軽に楽しめるので、ぜひ読んでみてくださいね。