【ネタバレ注意】心温まる人間模様!『ピアノの森』の魅力を編集部がご紹介!

【ネタバレ注意】心温まる人間模様!『ピアノの森』の魅力を編集部がご紹介!

「花田少年史」の一色まこと先生が、「ピアノ」を題材に、パワフルな少年の成長を描いた全26巻の大傑作。第12回(平成20年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞し、アニメ映画化・テレビアニメ化もされています。今回は、登場人物たちの複雑な心理描写と、聞こえるはずのないピアノの音色を見事に紙に落とし込んだ本作を、見どころと合わせて一挙ご紹介!

  • ピアノの森(1)

    少年・青年マンガ
    5.0
    600

    『ピアノの森』とは

    森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公の一ノ瀬海が、かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平たちとの出会いの中でピアノの才能を開花させ、成長していく姿が描かれている本作。 娼婦の息子だといじめられても屈することのないパワフルな少年が響かせる、優しくて、あたたかいピアノの音色に涙が止まりません。 全26巻という大作にもかかわらず、中だるみすることなく登場人物それぞれの葛藤や喜び、そして成長が繊細に描かれています。 「のだめカンタービレ」「BLUE GIANT」「四月は君の嘘」などの音楽漫画が好きな方にはもちろん、「NARUTO-ナルト-」などの主人公の成長がじっくりと描かれた作品が好きな方にもオススメです!

    あらすじ

    主人公の一ノ瀬海は「森の端(はた)」と呼ばれるヤクザやハグレモノが住む街で、娼婦の息子として育つ。そんな彼の唯一の心の拠り所は、森に捨てられたピアノを弾くこと。 ある日、カイの元に世界的なピアニストを父にもつ雨宮修平が転校してくる。 父と同様、ピアニストになることが夢な修平は、森の端でピアノを弾くカイの姿に衝撃を受け、そのことを音楽教師の阿字野壮介に話す。すると、阿字野は動揺し……。

    個性的な登場人物たち

    一ノ瀬海(いちのせかい)

    通称・カイ。本作の主人公で、森に捨てられたピアノを唯一弾くことができる、天才的なピアノの才能の持ち主。 森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育ったカイは、小学5年生のときに雨宮修平と阿字野壮介に出会い、人生が大きく変わっていく。

    雨宮修平(あまみや しゅうへい)

    小学5年生のときにカイの通う小学校へ転校してきた。父は世界的に有名なピアニストで、幼い頃からピアノの英才教育を受け、厳しく育てられている。カイの人生を変えた1人で、生涯の親友でありライバル。

    阿字野壮介(あじの そうすけ)

    かつては天才ピアニストとして名を馳せていたが、交通事故によって婚約者と左手の自由を失う。その後、小学校の音楽教師として赴任した先でカイの才能を見出し、開花させる。

    一ノ瀬怜子(いちのせ れいこ)

    カイの母親。「森の端」で生まれ育ち15歳の時にカイを産む。娼婦として生計を立てながら女手一つでカイを育てる。

    魅力ポイント

    (1)カイと阿宇野の出会い

    阿字野はカイの通う小学校で音楽教師をしています。常に仏頂面で厳しい阿字野は、子供たちに怖がられていました。しかし、実は、彼は世界に名を馳せた天才ピアニストで、森に捨てられたピアノの持ち主だったのです! ある夜、阿字野は森でカイのピアノを聴きます。この時カイが弾いていたのは阿字野独自のアレンジを加えた「茶色の小瓶」。授業中に数回だけしか聴かせていなかったにも関わらず、カイは完璧に演奏していました。 自分が弾けなくなってしまったピアノで、自分の音を奏でる少年。 阿字野は思わず「一緒にピアノをやらないか」と声をかけますが、カイはその誘いを断ります。 しかし、カイは阿字野が音楽室で弾いていた「子犬のワルツ」だけがどうしても弾けず、何か一つ阿字野の言うことを聞く代わりに子犬のワルツを教えてくれと頼みます。 子犬のワルツを教える代わりに、カイにピアノのコンクールへ出場することを条件に出す阿字野。こうして、カイと阿字野の挑戦は幕を開けるのです。 師匠であり、父であり、ライバルでもある。そんな運命の出会いを果たした2人が奏でるピアノに涙が止まりません!

    (2)カイと修平の出会い

    修平は世界的に有名なピアニストを父にもち、ピアノの英才教育を受け続けていました。ある日、カイが通う小学校に転校してきた修平は、元天才ピアニストの阿字野先生にピアノのレッスンをお願いします。しかし、阿字野は修平からの依頼を断り、カイを弟子に取ってしまうのです。ショックを受けつつもカイに負けじと努力し続ける修平でしたが、カイの圧倒的な才能を目の当たりにして嫉妬の気持ちが渦巻き始めます。 カイと修平を別の言葉で表すならば、「天才と秀才」でしょうか。 世界的なピアニストの父をもつプレッシャーや、カイを妬んでしまう自分への失望に苦しむ修平の姿は胸に突き刺さります。 努力は才能に勝てるのか、そんな、親友でありながら唯一無二のライバルでもある2人の関係性も見どころです!

    (3)胸に突き刺さる名言の数々

    一色まこと先生と言えば、ふわっとしたあたたかい絵柄に、繊細で複雑に絡み合った心理描写!本作では26巻に渡り、登場人物たちの心情を丁寧に丁寧に描ききっています。 一色先生が生み出す、綺麗なだけではない、だけどまっすぐな言葉は、胸に突き刺さり目頭を熱くさせます。 そんな名言の数々を、ここで一挙ご紹介! 「この手は、選ばれた手だ ピアノが…選んだ手だ!」(阿字野) 2巻143ページ 「全力で…海くんが全力で僕と勝負しなかったら、その時は絶交する!」(修平) 4巻90ページ 「海。あたしね、分かったの。自分のピアノを弾くってことがどれだけ素敵か あたし、ピアノやってて良かった!がんばってきて良かった!あたしがあたしで良かった!」(誉子) 6巻107~110ページ 「あたしと海は戦友なのよ!離れてどうこうなってしまうような親子じゃないわ‼」(怜子) 7巻206ページ 「俺が選んだんだよ。怜ちゃんを親に…俺が選んで生まれて来たんだ」(カイ) 7巻214.215ページ 「かつての事故で何故私は死ねなかったのかと自分自身を呪ったこともあったが…きっと───コイツを輝く世界に送り出すために…生き残ったのかもしれない」(阿字野) 7巻209ページ 「僕はまだ…海くんに勝てないのかもしれない 。なぜだ⁉どれだけ努力すればいいというんだ⁉これ以上…何を犠牲にすればいいというんだ⁉」(修平) 15巻197ページ 「あの日から…あのときから…森のピアノは俺と共にある」(カイ) 15巻213ページ 「辛いことは心を強くする。楽しい事は心を豊にする」(阿字野) 21巻58ページ

    メディア情報

    アニメーション映画

    2007年7月に公開。第31回日本アカデミー賞の優秀アニメーション作品賞に選ばれた。 アニメーション制作を手掛けるのは「時をかける少女」「パプリカ」など質の高いヒット作を生み出し続けているマッドハウス。 監督は小島正幸、主要キャストは一ノ瀬海役・上戸彩、雨宮修平役・神木隆之介、阿字野壮介役・宮迫博之。 連載中に公開されたこの映画は、オリジナルストーリーで締めることなく、原作に忠実につくられている。少し切ないが、未来への希望に満ち溢れたラストに原作ファンからの評価も高い。

    テレビアニメ

    NHK総合にて放送された。 第1シリーズは2018年4月から7月にかけて、第2シリーズが2019年1月から4月にかけて放送された。 演奏シーンでは、キャラクターごとに演奏者を変えたり、3DCGを駆使したりと原作の魅力を余すところなく表現している。 監督は第1シリーズは中谷学で、第2シリーズは山賀博之。主要キャストは一ノ瀬海役・斉藤壮馬、雨宮修平役・花江夏樹、阿字野壮介役・諏訪部順一。

    まとめ

    いかがだったでしょうか? 一色まこと先生によって18年の歳月をかけて描かれた本作。 映画化・アニメ化と人気の衰えない名作です。 時に悲しく、寂しく、楽しく、強く響き渡る登場人物たちのピアノの音色に、心が揺さぶられること間違いなしです! 優しい気持ちになりたいときに是非読んでみてください! 聞こえないはずの音が、あなたの胸に響きますよ。

  • 一色まことの他作品

    花田少年史(1)

    少年・青年マンガ
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    600

    近所でも一押しの悪ガキ・花田一路(はなだ・いちろ)少年。ある日、いたずらが過ぎ自動車に激突してしまう。幸いにも九死に一生を得たがこの事故以来、頭に残った9針のキズと共にオバケが見えるというコワ~イ能力まで得ちまったからたまらない。

  • ~ガキの頃から~ 一色まこと短編集

    少年・青年マンガ
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    ダメだけど……ドジだけど……切なくて……優しくて……人間ってこんなにも愛おしい! 『花田少年史』・『ピアノの森』の一色まこと、1990年以来、20年ぶりの短編集です。人生を明るく歌う“人間賛歌”読み切りシリーズ『ガキの頃から』に加え、初期読み切り連載『ばか。』も収録。