婚約破棄の茶会でワインをかけられ嘲笑された令嬢リディア。逃げ込んだ生垣の陰で再会したのは、無口な庭師ライアスだった。彼女は知らない。二年前、初めての夜会で転倒し嘲笑われたあの夜、物陰からそれを見ていた庭師見習いが、彼女の落とした髪飾りの造花の枝を、誰にも言わず接いで持ち帰っていたことを。屋敷への出入りを許され、接ぎ木を手伝い、初めて土に触れ、温室で見覚えのある枝の鉢に出会う。元婚約者の復縁も、蒸し返される噂も、ライアスは黙って間に入る。敬語を崩し、初めて手を重ね、二年前の真相を打ち明けられたとき、接ぎ目の上に、まだ名前のない二輪目が咲いた。本作は桐生ひなたの「転生令嬢と二年前の忘れもの」シリーズ。一話完結・どこからでも。

