最下層遊郭に売られた少女が見る、この世の地獄!! 明治後期、瀬戸内海の伊之島で生まれ育った活発な少女・チヌ。母はなく、幼いころから父親と、美しい姉・サヨリとともに暮らしていた。ある時、父が死に、姉妹は人買いの競りにかけられる。サヨリは高値で女衒に売られ、チヌは下層遊郭の「須賀屋」へ売られた。生きていればいつか姉に会えると希望を持つチヌだったが、初めて客を取らされた夜、絶望し、自殺しようとしたところを大地主の青年・公三郎に助けられる。公三郎は過去に身分違いの恋の末、駆け落ちし、その結果恋人を死なせた過去を持っていた。そのトラウマから、何事にも執着しない生き方をする彼だったが、チヌの天真爛漫な性格に惹かれていく。その後、チヌの見世はつぶれ、大店「東陽楼」で働くことになる。東陽楼の女たちは、チヌが公三郎に気に入られていることに嫉妬し、彼女を追い出そうと目論むが、仲間を思うチヌの心意気や仕事への気概を認め、受け入れられたチヌは東陽楼の二番手娼妓となる。ある時「東陽楼」のライバル店「西海楼」が、矢津で初の「おいらん道中」をやると宣戦布告してくるが――!?