純粋な悪なんて存在しない
昔、清水玲子の漫画が嫌いだった。
絵は綺麗だけど、内容が無茶苦茶でご都合主義満載でちっとも面白いと思えなかった。
でもどうしても、新刊が出ると買ってしまった。自分でもなぜなのかわからなかった。
そして、「秘密」の連載が始まって、その理由に気づいた。いつかこの作家は、きっと面白い作品を書くんじゃないかと期待していたのだ。
その期待は叶って、私はあっという間に「秘密」に夢中になった。
面白い。面白すぎる。
読むたびに胸を抉られるような描写ばかりで、青木をこき下ろす薪の台詞に何度もヒリヒリするけれど、読まずにいられない。
最新刊も本当に面白かった。
そして、光という悪魔に育てられた天使の結末に、ほんの少しホッとした。
少年を悪魔にするのは大人なのに、その大人のせいで罰せられる罪さえ持てないことがどれほどの不幸か。
さまざまなことを考えさせられ、泣いた。
購入して絶対に損のない作品だと心から言える。続きも楽しみに待ちます。