サクラメントから大陸横断鉄道に乗り込んで広大な中西部の荒野に姿を消した龍馬を追って、沖田総司ら5人は騎馬で追跡行を開始した。龍馬探索に関わるアメリカ合衆国司法省の介入を嫌って指令に背き、ウォーレン・マイヤー率いる特別調査官らを敵に回しての旅立ちであった。
龍馬がユタ州プレモントリーで下車したことを突き止めた総司は一路東へ進んだが、前途に広がる中西部の荒野は暴竜や大蠍(おおさそり)が抜扈(ばっこ)する魔境であり、ジェームス強盗団らが列車襲撃を企てる無法地帯でもあった。総司の一行はたちまちその脅威にさらされるが、最も恐るべき敵は、龍馬と共に今や総司をも標的にすえた6人の追って……吸血鬼マインスター男爵ら、妖人揃いの特別調査官たちであった。
著者渾身の一大スペクタクル時代劇・第2弾! ソノラマ文庫では未収録だった雑誌『獅子王』連載時のカラー扉イラストを巻末に特別収録!
●菊地秀行(きくち・ひでゆき)
1949年、千葉県生まれ。青山学院大学卒業後、雑誌記者の傍ら同人誌に作品を発表し、1982年『魔界都市“新宿”』でデビュー。1985年、『魔界行』三部作が大ヒット、人気作家の座を不動のものとした。伝奇・幻想・バイオレンス小説の第一人者。著作は300冊を超える。