政治的リアリズムの立場から戦後の経済重視・軽武装路線を「吉田ドクトリン」と定義づけ、軍事的リアリストへの批判を展開した『現代と戦略』第一部「現代と戦略」と、山本五十六の真珠湾奇襲、レーニンの革命とヒトラーの戦争など、〈愚行の葬列〉である戦史に「失敗の教訓」を探った『現代と戦略』第二部「歴史と戦略」の合本。岡崎久彦による反論、永井・岡崎対論「何が戦略的リアリズムか」、自作解説インタビューを併録。〈解説〉中本義彦
【目次】
◎現代と戦略
(I 防衛論争の座標軸/II 安全保障と国民経済――吉田ドクトリンは永遠なり/III ソ連の脅威――軍事バランスという共同幻想/IV 有 事――日米運命共同体の幻想がくずれるとき/V 戦略的思考――死こそ赤への近道/VI 摩擦と危機管理)
◎歴史と戦略
(戦略論入門――フォン・クラウゼヴィッツの『戦争論』を中心として/I 奇 襲――「真珠湾」の意味するもの/II 抑止と挑発――核脅威下の悪夢/III 情報とタイミング――殺すより、騙すがよい/IV 戦争と革命――レーニンとヒトラー/V 攻勢と防御――乃木将軍は愚将か/VI 目的と手段――戦史は「愚行の葬列」)
◎付録
(永井陽之助氏への“反論”〔岡崎久彦〕/対論・何が戦略的リアリズムか〔永井陽之助×岡崎久彦〕/インタビュー『現代と戦略』とクラウゼヴィッツ)
◎解説(誤解を避けるために/人間学としての戦略研究〔中本義彦〕)