ドラマ化で話題沸騰「風の市兵衛」の辻堂魁、新境地!
続々重版の「刃鉄の人」シリーズ。
書評家 菊池仁氏、絶賛!
「息を呑む面白さだ。非凡な才能が、本作で大輪の花を咲かせた」
時は元禄――
初代・市川団十郎が舞台上で刺殺されたその数日後。
刀鍛冶・一戸前国包(いっこまえくにかね)の仕事場に、傾き者のごとき、異形の男が現れた。
天を衝くほどの体躯の異相異風。だが目鼻だちは美しく整っていた。
全身の風貌は異様な妖しさを漂わせながら、むしろ、神々しささえ感じさせるほどだった。
団十郎に強い憧れを持つその男は、世間では”かげま団十郎”と陰で呼ばれる、旅一座の座長・熊太夫だった。
熊太夫の依頼はふたつ。
自身が持つ朱鞘の小さ刀と同じこしらえの大刀を打ってほしいということ、そしてその小さ刀が誰のものだったかを調べてほしい、とのこと。
その小さ刀にはなんと、「武蔵国包」と銘が打たれていたのだ。
だがその依頼は、哀しみに満ちた熊太夫の過去、さらに若き日の国包に繋がっていた。
息もつかせぬ展開、胸に迫る結末。
神陰流の達人・国包の剛剣唸る、「刃鉄の人」シリーズ!