近年話題の「リバース・イノベーション」は、
単に新興国市場向けに設計された製品を取り上げ、
それを先進国で売ることに留まらない。
むしろ、企業そのものを変革するものである。
それゆえ、実行に当たっては、内部からの軋轢も多い。
世界的オーディオ・メーカー、ハーマンは、
大胆かつ慎重に事を進めた成功事例である。
新興国市場を熟知した現地リーダーに大きな権限を与える一方、
その先進的な試みを全社でサポートできるよう
トップは細心の注意を払っている。
そうしたマネジメントの妙があったからこそ、
ハイエンド顧客への対応に匹敵する情熱を持って、
インド、中国、東南アジアをはじめとする
ローエンドへの道を切り開くことが可能となった。
リバース・イノベーションには、
従来のグローカリゼーションと
まったく異なる発想とマネジメントが必要である。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2012年8月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。