事業の目的とは何か。
経済学者や投資家は「金儲け」にほかならないと主張し、
大半の経営者たちがこの論理に従ってきた。
利益の極大化、株主価値経営、四半期主義、
「企業は株主のもの」を前提としたガバナンスなどは、
その典型である。
しかし、社会目的と経済価値を両立し、
長期志向の経営を実践する「グレート・カンパニー」は、
異なる論理、すなわち「制度の論理」
(institutional logic)で行動している。
ピーター F. ドラッカーが訴えたように、
経済機関というより社会機関として自社を位置づけ、
社会に貢献することを事業の目的とし、
外部不経済を内部化し、
株主以外のステークホルダーからも称賛される行動に努めている。
本書では、ペプシコ、ノバルティス、サンタンデール、
新韓銀行、P&G、IBMなどの事例を紹介しながら、
グレート・カンパニーに共通する6つの要件、
すなわち「共通の目的」「長期的視点」「感情的な絆」
「公的組織との連携」「イノベーション」「自己組織化」について解説し、
持続可能性を追求する企業は
制度の論理に従って思考・行動しなければならないと訴える。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2012年3月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。