ビジネスが社会に及ぼす悪影響を減らすという側面では、
我々は進歩しているとはいえない。
むしろ、事業活動の負の影響は拡大し続けている。
環境に悪影響を与える製品を買うほうが、
環境への負荷が少ない製品を買うよりも概して安価だからである。
すなわち、地球にとっては高コストでも、
顧客にとっては高価格にならない。
これは、事業活動によって地球にもたらされる損害を
企業が負担しなくてもよいからだ。
このような影響の多くは正確に測りにくい、
あるいは個々の企業に公正に割り振りにくいため、
そのコストは常に企業会計において外部的なものだった。
しかし、このように外部化されたコストを定量化し、
割り振ることができたとしたら、
安いものを求める消費者心理が、
健全で公正な世のなかを維持するビジネス手法と完全に合致し、
強力な市場の力がサステナビリティの目標に資するようになる。
幸いなことに、
成功するビジネスが持続可能なビジネスと
同義になるのは可能なばかりか、
もはや必然である。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2012年3月号)』に
掲載された論文を電子書籍化したものです。