【内容紹介・目次・著者略歴】
神学者カール・バルトの政治倫理を同時代史の激動と重ねて検証し、《政治的人間》バルトの魅力を生き生きと描く。
【目次より】
I カール・バルトの政治思想
1 カール・バルト 政治的・神学的評伝
はじめに カール・バルトヘの旅
一 危機の時代と闘いの出発 二 ドイツ教会闘争の只中で 三 ヒトラーの戦争に抗して スイスからの《―つの声》 四 東西対立と冷戦の論理を越えて 五 神の希望の弁証法
2 《政治的人間》としてのカール・バルト ニつの公開書簡論争
一 コンテキストの中の神学 二 東と西の間の教会 エーミール・ブルンナーとの往復書簡 三 教会闘争の前哨戦 エマヌエル・ヒルシュとの往復書簡
3 バルト『和解論』の政治倫理 『教会教義学』遺稿を読む
一 『和解論』の倫理 その構成と主題 二 《主なき諸権力》の支配 三 闘うキリスト者=《神国到来》の希望の証人
II 同時代史の中から ナチ・ドイツの時代
4 ナチズムの意義
一 危機の精神的状況 二 ナチズムの思想と行動 三 ナチズムの意味
付論 ラウシュニング『ヒトラーとの対話』異聞
5 パウル・ティリッヒの政治的思惟
6 エルンスト・カッシーラーとナチズム カッシーラー『国家の神話』を読む
一 カッシーラーの生涯と著作 二 カッシーラーの神話理論 三 《現代の政治神話の技術》に抗して
7 南原繁とカール・バルト
一 南原とバルト『今日の神学的実存』(一九三三年) 二 南原とレーヴィットのナチス批判 三 南原の政治哲学とバルト 四 南原の『二十世紀の神話』批判とバルト 五 待ちつつ急ぎつつ 内村・南原・バルトの平和論
おわりに 南原とバルトの出会い
III 同時代史の中から アデナウアーの時代
8 西ドイツの政治と経済
一 一九六一年総選挙の相貌 二 経済奇跡の光と影 三 連邦議会の表と裏
9 西ドイツの宗教と政治
一 戦後の政治的カトリシズム 二 プロテスタント教会と政治 三 教会兄弟団の運動
10 アデナウアー時代の終焉
一 アデナウアーの遺産 二 シュピーゲル事件の一年 三 エーアハルトの《新》路線
付論 西ドイツ司法の社会的性格
11 ネオ・ナチ政党の台頭と基盤 ドイツ国家民主党の思考と行動
一 NPDの得票分析 二 NPDの組織と指導 三 NPDの論理と機能 四 台頭要因と展望
終章 神の愉快なパルティザン マルティン・ニーメラーとカール・バルト
あとがき 解説と解題に代えて
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宮田 光雄
宮田 光雄 (みやた みつお)
1928年生まれ。政治学者・思想史家。東北大学法学部名誉教授。専門は、政治学、ヨーロッパ政治思想史。東京大学法学部政治学科卒。
二つの著作集がある。
『宮田光雄集 「聖書の信仰」』(全7巻 岩波書店)
「信仰案内」「聖書に聞く 説教選」「聖書を読む 解釈と展開」「国家と宗教」「平和の福音」 「解放の福音」「信仰と芸術」
『宮田光雄思想史論集』(全7巻+別巻 創文社)
「平和思想史研究」「キリスト教思想史研究」「日本キリスト教思想史研究」「カール・バルトとその時代」「近代ドイツ政治思想史研究」「現代ドイツ政治思想史研究」 7巻「同時代史論」「ヨーロッパ思想史の旅」。
訳書に、E・カッシーラー『國家の神話』A・ケーベルレ『キリスト教的人間像』K・フォルレンダー『マキァヴェリからレーニンまで 近代の国家=社会理論』(監訳)エーバハルト・ベートゲ, レナーテ・ベートゲ『ディートリヒ・ボンヘッファー』アードルフ・ケーベルレ『信仰の豊かさを生きる』ディーター・ゼンクハース『諸文明の内なる衝突』などがある。