【書籍説明】
冒頭より
「まーったく、嫌になっちゃうわよねぇ?宝くじに当選するならまだしも、まさか戦争の代表者に選ばれるなんてね」
剛都アメリカ国、シリウスハウスのとある一室でオーレリア・クラックソンがワインを仰ぎながらそう言った。
それに同意するかのように、横に座っていた茶髪の青年――タルコット・ファーナビーが大きくため息を吐いた。
「確かに。なんだか運を使い果たしたような気分だよ。宝くじは買ったことがないけどね」
「タルコット、あなた十九歳にもなって宝くじの一つも買ったことないわけ?欲のないお子様だこと」
オーレリアの意地悪な言葉に対してもタルコットは困ったように笑うだけで特に言い返す素振りはみせない。
そんな二人をジロッと睨んだのは、二人と同じように神託の銃弾によって選抜されたランディー・アクトンという男性だった。
がっちりとした体型にスポーツ刈りにした金髪がどことなく威圧感を与える。加えて不機嫌そうにワインを嗜んでいるものだからその威圧感は増量されてしまっている。
「そう言ってやるなオーレリア。タルコットには金以上に夢中になれるもんがあるんだろうさ」
お前と違ってな、と無表情でランディーは言う。
【目次】
第五章決戦前夜
第六章一戦目「戦場のヴァイオリニスト」
第七章二戦目「その女、落石注意につき」
第八章三戦目、其の壱「星返しの青年」
【著者紹介】
月読綾人(ツクヨミアヤト)
西日本在住。学生の頃から執筆活動を開始し、2015年より電子書籍を執筆するように。
妖怪物やファンタジー、世界系の物語を執筆するこ… 以上まえがきより抜粋