あらすじ――いいぜ。連れてってやるよ、翼。この世の、果てまで――遼のその声は、どんな甘い誘惑より濃密に体の奥まで響いてきた。武之内グループの後継者、宝生学院高校の生徒会長の立場を捨てて、乗り込んだコンテナ船。船内で名器ガルネリ・デル・ジュネスを奏でるおれたち。その調べは甘くせつなかった。遼と友だちにはなれない。そして、兄弟にもなれない。――もう自分に嘘はつけなかった。