「戦いは嫌いだ。……『英雄』という肩書は、そんな本心すら曇らせてしまうから嫌いだ」異世界より召喚されし救世主の一人、『神殺しの英雄』山田蓮司(ヤマダレンジ)。魔神討伐後正体を隠し旅を続けていた彼は、新たな仲間と共に魔神の眷属を討伐し、再びきな臭くなってきた世界で魔王シェルファの存在に思いを馳せる。ある日蓮司が冒険者ギルドを訪ねると、そこにはムルルと名乗る獣人の少女の姿があった。彼女は王都に居る十三人の英雄の一人、『賢者』宇多野優子(ウタノユウコ)に届け物があるという。一文無しの彼女に常識を教えつつ、蓮司は共に王都を目指すことに。一方王都の宇多野は、同じ十三人の英雄の一人である『魔法使い』井上幸太郎(イノウエコウタロウ)より、『未来視の魔眼』で蓮司の死を予言したと告げられ――!?「英雄ではない」と言い張り続ける男の紡ぐ英雄譚、第三章開幕。