面白かった
自分に力がなく、どうすることもできないような高い壁に衝突してしまった時の絶望感。
この世界にとっての自分の現在地を目の当たりにしてしまった時の衝撃。
中学生という、今まで子供扱いをされてきた人間が、大人という社会的な現実を明確に捉えはじめる曖昧で不安な時期の、心理状況がしっかりと表現されていて、ナツのネガティブな思考にとても共感をしてしまいました。
欲しいものややりたいことがどんどん増えていくのに対し、自分のできることは中々増えていかない。
今の自分では手の届かない、思い通りにならないことだらけで、毎日の生活に閉塞感がある。
幼く、無力で、希望を見失い、だんだんと心を閉ざしてしまう。
そんなナツの気持ちが自分の気持ちと重なってとても辛くなりました。
可愛らしさと和やかさのある世界観だっただけに、ショックのある表現が際立って、さらに強く心に突き刺さったのだと思います。
終わり方も、あまり救いがなく、不快感が残る感じがしたので、個人的にはハッピーエンドではないような気がしました。
強く心を掻き乱される作品だとは思いますが、かなり現実味があって、大切なことに気づかせてくれるいい作品だと思いました。