己の聖気について知るため、ハトハラーへ帰郷したレントは家族の眠る墓前で、ついに自身の過去をロレーヌに語り始めた。それは20年前――冒険者を夢見る幼馴染の少女・ジンリンとの記憶。生まれて初めて訪れた隣町でジンリンと巡った市場の喧噪。両親に内緒で二人だけで出掛けた探検で見た初めての景色。そして、不思議な妖精との偶然の小さな出会い。ジンリンに引っ張られるままに、そこで見て感じたものは、内向的だったレントを変えるに十分な転機になるはずだった。村への帰り道、彼等を待ち受ける惨劇さえ無ければ――。死してなお神銀級冒険者を目指す男の根源が明らかになる。巻末に書き下ろし小説&描き下ろし漫画を収録。