｢あなたのことはそれほど｣のレビュー・感想

2017年の春にドラマ化され、みなさまの記憶にも新しいあの話題のW不倫劇。
女性からの絶大な支持を誇るいくえみ綾さんが手がけており、ドラマ化する前から、話題沸騰していた作品。
結婚しても恋に恋する美都と、美都の初恋相手・有島くん（爽やか系イケメン）とのW不倫がこの物語の鍵。
お互いの家族まで巻き込んでグチャグチャにしていくのです。もーーーう、本当に出口がみえなくて、「誰が悪い」とかも分からなくなるほど、どろどろしていて、クセになります。
ただ、美都みたく、人を本気で好きになって、何も顧みずに突き進むことができるなんて、羨ましいと思ってしまったのは私でしょうか・・？
人に迷惑をかける恋はイケナイと思いますが、こんなに夢中になるほど人を好きになることは、実はそう簡単なことではないのかもしれません！

結婚って怖いなあって思いました。
いくら好きで一緒になったとしても、その相手以外に一生恋しないなんて、あり得るんでしょうか？
私は自信ないですが、結婚した後も不倫はしたくないです。なぜなら、心の平和が乱されるから。
でも、絶対にトキメキは欲しくなると思います。
そんなとき、トキメキは外注してしまえばいいと思うんです。
たとえば、このマンガを読んで、不倫の蜜の味とリスクを体感するとか。

不倫は飽くまでも当事者間の問題ですから、罰するも許すも、最後はやはり当事者に委ねられます。
本作が描く２組の夫婦は、不倫をきっかけに大きくその運命を狂わせて行きました。
軽い気持ちで初恋の男と関係を持った女と、妻の不貞を察して精神のバランスを崩して行く夫。本能の赴くままに不倫を始めた男と、妙に勘の良い妻。
ドロドロのW不倫の果て、それぞれの夫婦が出したそれぞれの結論に、あなたはなにを感じるでしょうか？
ドラマ版とはまた違う味わいを湛えた、名手・いくえみ綾先生の傑作です。

ドラマ版『あなたのことはそれほど』が、記憶に新しい人も多いと思います。原作も主人公が学生時代に一番好きだった相手に偶然出会い、不倫関係が始まるところから物語がスタートしますが、不倫をそこまで悪いことと思っていないような主人公の姿に苛立ちを覚える人が多いようです。
夫より好きな人がいてその気持ちを止められない妻、それに気付き狂気なまでに（ある意味の）束縛をする夫からは、「恋愛」の前では大人になりきれない人間の弱さや脆さをリアルに感じられます。

クリニックで医療事務として働く美都は、平凡だけど優しい涼太と結婚して、それなりに幸せな日々を送っていました。ところが美都は、学生時代に一目ぼれした有島光軌と再会し、体の関係を持ってしまいます。不倫に気づき、陰湿な本性をあらわにしていく涼太…一番好きな人と、一番愛してくれる人、あなたは選ぶならどっち？

結婚してもときめきが欲しいとか、ドキドキが〜なんて、たまに既婚者の友達が口にするんですが、なんだかいつも幸せそうには見えない。一方、旦那さんを大切にしてる友達は、旦那さんに愛され、今も恋をしているように見える。これって、女性側の体質の問題な気がしてならないと思った本作。
　未婚で婚期を先延ばしにする私が言うとちょっと微妙ですが、結婚ってやっぱり大好きな人としよう…って思わせられたマンガです。こんな結婚怖すぎる!!!

今話題のゲス不倫、しかもダブル！ということでドラマ放映中も物議を醸し出していた通称「あなそれ」。原作の旦那様は東出くんとはまた違った雰囲気で、醸し出す狂気はドラマ以上かもしれません。主人公はじめ登場人物たちの結婚生活に対するリアルな本音とどす黒い欲望にまみれ不倫に溺れていくという、終わりのない闇のようなストーリー。ピュアな少女マンガから大人の階段を登った先のダークな恋愛マンガは、一癖も二癖もあって面白いのです。