｢逃げるは恥だが役に立つ｣のレビュー・感想

星野源＆ガッキーの「恋ダンス」で大ブームとなったドラマの原作マンガ。森山みくりと津崎ヒラマサは、一見どこにでもいる仲のいい夫婦。
しかし、実は互いのニーズが合うことから「契約結婚」をしている仮面夫婦。いっしょに暮らす中で、お互いにかけがえのない存在となっていく、みくりと津崎。夫婦とは何なのか、妻の役割とは何なのか考えさせられるとともに、ピュアなふたりのやり取りにキュンキュンしちゃいます?

言わずと知れた海野先生の代表作です。主人公は高学歴だが派遣切りにあってしまった女の子みくり。家事手伝いとしてお給料をもらいながらある男性と同居をはじめますが、いつしか恋愛感情が芽生え…。今まで当たり前に無償とされてきた家事労働にメスを入れる痛快ラブコメです。
家事を無償でさせるのは「好きの搾取」？結婚観を揺さぶられる力作です。

ドラマで知らない人は居ない位メジャーになった逃げ恥。「雇用主と従業員」という関係の契約結婚が、2人を本物の恋人にしていく規格外のマンガですよね。でもこのスタンスってじつはすごく合理的なんです。恋愛だと、お互いへの甘えや遠慮で言いたい事やうやむやになるけれど、雇用主と従業員ともなれば職場環境を改善するという大義名分を元に、交渉して最もすごしやすい環境を勝ち取れるし、協議も出来る。愛があってこそだけれど、こんな合理的な制度って現代の恋愛に必要かもしれません。

ドラマ化もされ、大ブームを巻き起こした『逃げ恥』。恋ダンスも大ヒットして、社会現象にもなりましたね。
仕事や恋愛への価値観は人それぞれで、果たして大切なものは何か…、社会に対して訴えているような作品です。●
みくり(25歳)×平匡さん(36歳)の契約結婚や百合ちゃんの恋愛など、ユニークな設定の上、会話もテンポがいいので、スルスル読めます。

しかも、所々でのセリフの説得力は天下一品♪
"現状維持"についてや、"相手や気持ちを理解すること"について等。

『逃げるは恥だが役に立つ』はハンガリーのことわざで、
自分の得意分野で勝負しろという意味だそう。
読み終えた後、”自分らしく明日も頑張ろう"と思えるから不思議です。

ドラマでも話題になった作品。絶食男子・平匡さんには、恋愛経験のなさから作り上げてしまった厚〜い心の壁が。みくりとの結婚で、ちょっとずつその壁を壊して行く姿が、「自分を成長させることのできる男」に見えて魅力的。
恋愛経験がない男性は、愛されることにありがたみを感じて自分だけを見てくれそうだし。みくりとの距離が一歩一歩縮まる、その小さな進捗にいちいち胸キュンさせられ、目が離せない！