吸い込まれそうな深い闇!ダークで重厚な物語を堪能できるマンガ3選

ポーの一族
Under the Rose
伯爵カイン

登場人物は善人ばかりで、結末はハッピーエンド。
優しくて幸せな物語が子どもの頃は好きだったけれど、悲喜こもごもを経験した今、それだけでは物足りない。
そう感じている方にこそ知ってほしい、心に闇を抱える人々の生き様を描いた作品をご紹介します。

ポーの一族萩尾望都

発表されてから約40年間、多くのファンに支持されてきた不朽の名作。
吸血鬼モノといえば、吸血鬼と犠牲者の心の交流を描いたものが多いですが、本作はそれだけに留まりません。
数百年もの長い年月の中、不老不死のエドガーとアランが出会った人々は様々な闇を抱えています。吸血鬼としての苦悩、貴族ならではの葛藤、家族同士の確執…
そういった血肉の通った人間ドラマが連なっていって、美しく重厚な世界を作り上げています。

Under the Rose船戸明里

「Under the Rose」とは、英語で「秘密」という意味です。
この作品には、他人に言えない秘密を抱えている登場人物がたくさん登場します。
舞台となるのは英国のロウランド伯爵家。伯爵とその正妻、複数の愛人、立場の違う子どもたちの絆や衝突が、家庭教師レイチェルの目線で描かれた作品です。
複雑な関係を繋ぐ家族愛はどこか歪んでいて、第一巻から緩やかに歯車が狂っていきます。
胸が苦しくなる展開が続きますが、とにかく心理描写が秀逸で引き込まれます。

伯爵カイン由貴香織里

「天使禁猟区」で重苦しく切ない物語を描ききった由貴香織里先生の代表作の一つです。
「忘れられたジュリエット」から「ゴッドチャイルド」までの連作で、由貴先生が得意とする近親恋愛や主従関係、親子間の愛憎などが耽美に描かれています。
一筋縄ではいかないストーリー展開と、どこかしら裏のある人物が魅力的。建築物や装飾品などディテールにヴィクトリア朝らしさを感じます。
英国貴族的な世界観を味わいたい方にもお勧めです。