じんわり心に染み渡る 感情の機微を巧みに描いたマンガランキング

雑草たちよ 大志を抱け
ラウンダバウト
逢沢りく

マンガを読む醍醐味の一つが、心が動く瞬間を味わえること。
セリフがなくても登場人物の表情や構図だけで心の動きを感じ取ることができるのは、マンガならではです。思わず共感してしまうようなマンガたちを紹介します。

雑草たちよ 大志を抱け池辺葵

ゲジマユが気になるがんちゃんと小さなピコ、クールなひーちゃん。恋愛ものの少女マンガでは、おそらく主役にはなれない普通の少女たちの日常が描かれています。
失恋したときにはおもしろい動画を送ってくれたり、苦手なマラソンを一緒に完走したり。友だちに何かあったとき、さりげなく手を差し伸べられるのは、彼女たちの中に友だちを大切にする気持ちが意識的にあるから。行間を堪能したい人はぜひ。

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ラウンダバウト渡辺ペコ

中学生の真は顔も知らない漫画家に妄想恋愛中。恥ずかしさしかない体育の授業の創作ダンスや、教師からの理不尽な指導など、中学生のころに覚えた違和感が巧みに描かれ、自分の恥ずかしい過去まで思い出しそうに。
女子が3人でいる場合の関係性のバランスについて、過剰に気にする感じや将来の夢を過剰に描いてしまうことなど、押入れの奥にしまわれた思い出を次々引っ張り出されているかのように共感の嵐でした。

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逢沢りくほしよりこ

会社の女性と浮気をするパパや、見て見ぬふりをして幸せを演じ続けるママ。愛のない過程で育ったりくは、空虚を抱えています。やがて関西の親戚の家に住むことになったり、人との関わりを持つことになります。
関西の人々のなかでも、りくが突き放してもなついてくる親戚の時ちゃんがとてもかわいい。関西の人たちの温かさや時ちゃんによって、少しずつ変わっていくりく。笑って泣けて、繰り返し読みたくなります。

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機械仕掛けの愛業田良家

子どものいない夫婦や独身男性の元など、ロボットと人との共存が描かれています。
ロボットにはメモリが搭載されており、消去されれば以前の記憶は消されてしまう。ロボットに感情はないとされているけれど、そこに少しの希望や奇跡を感じたく読み進めてしまいます。
ロボットが主役なのに、温かみのあるエピソードが多いのが救いです。

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赤い文化住宅の初子松田洋子

母は亡くなり、兄と二人で文化住宅に暮らす初子。お金を稼ぐために中学生でアルバイトをし、高校進学も諦めてしまう。
見ていて苦しくなるほどの初子の境遇ですが、そのなかで唯一の光ともいえるのが同じクラスの三島の存在です。風邪を引いた初子をおぶって家まで帰ってくれたり、就職する初子に「結婚しよう」と迫ったり。
三島との儚い恋が切なく、二人のハッピーエンドをただ願わずにはいられません。

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