



動物との暮らしは、楽しさや温もりはもちろん、何ごとにも代えがたい経験を与えてくれるもの。
一方で、殺処分や悪質なブリーダーなど、ペットブームによって起こる弊害もあります。生き物と暮らすことの責任や喜びを感じられるマンガたちを紹介します。
原作・夏葉先生、作画・ちくやまきよし先生という『獣医ドリトル』のコンビによる作品。
悪徳ブリーダーにより、狭く汚い室内に閉じ込められた動物たちを、不法侵入も厭わない、破天荒な甘原士狼と獣医師の獅子神太一がぶつかりあいながらも救おうとします。
共食いによって死んでしまった子犬や保健所の殺処分の様子など、想像を絶するシーンも度々登場。今ペットを飼っている人やこれから動物を迎え入れようと思っている人に読んでほしい作品です。
過去にはドラマ化もされた人気作。
言葉はキツく、高額な治療費を請求するなど一見冷血なようにも感じられるドリトルですが、動物をしっかりと観察して、ときに飼い主との関係性も見直させるなど、実は動物のことを誰よりも考えています。
偽善やエゴで動物を助けようとする人間を「獣医はビジネスだ」と容赦なく突き放す姿は厳しいながらも、動物を救うことの本質を突いています。
動物が苦手な雨野なずなは、ある日飛び出してきた犬を自転車で轢いてしまい、七宝動物診療所を訪れます。
動物好きなキャラクターが多く登場するなかで、個人的に注目しているのが五藤先生です。やたらと血統にこだわるなど独自の動物愛を持っていながらも腕は確か。いやな奴だけどどこか憎めない存在です。
作品を通じて、動物を飼うことに対する責任はもちろんですが、一緒に過ごすことへの喜びも感じさせてくれます。
獣医師になりたての西山真人が就職したのは、"珍獣のお医者さん”と呼ばれる動物病院。かわいい系の動物以外は苦手な西山が、ヘタレながらも諦めずに患畜に向き合っています。
読み進める楽しみの一つが、さまざまな生物の習性を知れること。クモが脱水症状を起こすことや胴体視力がいいばかりにカエルが誤飲してしまうことなど、よく知ることでその生物への興味が湧いてくるから不思議です。犬や猫はもちろん、動物全般が好きな人に。
絶対音感を持つヤンキー高校生・岩城鉄生(てっしょう)は、あるとき、子犬を助けたことから獣医になることを決意しました。
マニュアル通りではなく、あらゆる可能性を考える鉄生からは、ときに「二日酔い」や「仮病」といった思わぬ診断も。相手がどんな動物でも粘り強く向き合い、やれるだけのことをする。
獣医マンガのはずが、読んでいると子育てや仕事への向き合い方など意外なヒントが得られる不思議な作品です。