読むと鬱に?【マンガの神様】手塚治虫先生の神鬱マンガ

奇子 手塚治虫文庫全集
ミクロイドS 手塚治虫文庫全集
アポロの歌 手塚治虫文庫全集

父が手塚治虫先生ファンだった影響もあり、小学生のころから手塚治虫先生のマンガには親しんできました。
当時から思っていたこと、それは、「手塚治虫先生って……ヤバイ!狂気描きすぎ!」。多作な先生のちょっと危険な鬱系マンガをセレクトしました。

奇子 手塚治虫文庫全集手塚治虫

小学生のころ読んで衝撃を受けました。地方の豪農の権力争いに巻き込まれた少女が、4歳から地下の蔵に閉じ込められ、大人になるまで暗い蔵で育てられるというお話なんです。
少女から大人の女性に美しく変化していきながらも、外の世界との断絶ゆえに心にひずみができてく様にぞっとさせられます。こんな怪しいストーリーを思いつくなんて、手塚治虫先生の妄想力、おそるべし。

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ミクロイドS 手塚治虫文庫全集手塚治虫

昆虫によって改造させられた人間ミクロイドが、知能を身につけた昆虫ギドロンと戦う話です。
今現在、人間はあたかも昆虫や他の生物を支配しているかのように見えますが、そういった状況に対する風刺のようにも読めました。人間以外の生物に対して、どのようにふるまうべきなのか、環境にどういった配慮をすべきなのか、改めて考えさせられるマンガです。

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アポロの歌 手塚治虫文庫全集手塚治虫

一人の女性を愛しながらも、愛が成就する前に、自分か女性のどちらかが死んでしまうという残酷な運命を宣言された主人公の、愛を巡る冒険が描かれています。
愛のゴールとは何か、愛したとたん、愛する相手が死んでしまうことが繰り返されると、人の精神はどうなってしまうのか、
様々な哲学的な問いを内包した一作で、折に触れ読み返したくなる作品です。

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ばるぼら 手塚治虫文庫全集手塚治虫

主人公の天才小説家が、アル中で路上で生活する不思議な女性・ばるぼらを拾い、同棲を始めたことによって、自分の異常な性癖を直視し、まともに生きようともがくお話です。
主人公がマネキンや犬を美女だと空想して愛する様はまさに狂気。異常な性癖の主人公の悲しみや苦しみがひしひしと伝わってきます。
ばるぼらのミステリアスな魅力も加わって、耽美な雰囲気溢れる一作です。

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MW 手塚治虫文庫全集手塚治虫

ストーリーが秀逸です。エリート銀行員でありながら、猟奇殺人鬼という顔を持つ男と、彼を止めようとしながらも、肉体関係を結んでしまい、同性愛に苦悩する神父の心の葛藤がつぶさに描かれています。
狂った人間と普通の人間、という構図が、ストーリーが進むにつれて、二人の人間の境があいまいになっていき、本当にまともな人間は誰なのか分からなくなってくるという不思議な感覚が味わえます。

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