世界史マンガのおすすめ作品紹介。歴史好きも初心者も楽しめる13選

チェーザレ・ボルジアは分裂と戦乱の15世紀イタリアに生まれ、冷徹とも言える合理性と柔軟な発想でヨーロッパ統一を目指した革新者でした。 主人公のアンジェロは平民ですが、たまたまチェーザレと同じ大学に通うことになり彼と親しくなりました。素朴なアンジェロの目を通すことで、チェーザレの異才ぶりや周囲の複雑な権力関係がわかりやすくなっています。 癖のある人物たちの心理や時代背景も丁寧に表現されているのが特徴です。当時の姿で再現された歴史的建物を見れば、ルネッサンス期イタリアの観光気分も味わえるでしょう。

紀元前4世紀のギリシャを中心に、奴隷からアレクサンドロス大王の書記官になったエウメネスの冒険譚です。 ギリシャの都市国家カルディアで、裕福な家の次男として育ったエウメネスは、ある事件がきっかけで奴隷の身分に落とされます。その後、数々の苦難を持ち前の機転と度胸で乗り越え、エウメネスはマケドニアのフィリッポス2世に見い出されるのでした。 『寄生獣』の岩明 均（いわあき ひとし）さんならではのゾッとするような演出や、エウメネスの知略が見ものです。

父親の復讐に燃えて戦場で育った少年・トルフィンを主人公にした、ヴァイキング叙事詩です。 中世ヨーロッパにおいて、北の蛮族と恐れられたヴァイキングの生活や価値観が、リアルに描かれています。戦場シーンでは、トルフィンの小柄な体躯とスピードを活かした短剣さばきや、ヴァイキングの白兵戦の凄まじさが肌で感じられるでしょう。 作者は『プラネテス』の幸村 誠(ゆきむら まこと)さんで、血塗られた宿命と向き合っていくトルフィンの成長を中心に、様々な立場で語られるキャラクターたちの生きざまが魅力的です。

フランス革命時、ルイ16世の処刑人となったシャルル＝アンリ・サンソンの物語です。当時の死刑執行人は、不正をただす国家の要職でありながら、見せしめのために罪人の苦痛と屈辱を見せつけるショー・プランナーでもありました。 心優しいサンソンは、若くして継いだ処刑人家業への責任と、良心の間で苦しみます。死神と忌み嫌われながらも死刑廃止を願い、医者として命も救ったサンソンの生涯は矛盾に満ちていました。 美麗なイラストで描かれた動乱のパリとサンソンの数奇な運命に、思わずページをめくってしまうでしょう。

ローマ史上、最大の敵と怖れられるカルタゴの英雄・ハンニバルと、ローマの武将・スキピオの第二次ポエニ戦争がテーマです。 紀元前3世紀、カルタゴ（現在のチュニジアあたり）の将軍ハンニバルは、ローマの支配下にあった各都市を次々に解放し、やがてローマを滅亡寸前にまで追い込みます。 一将兵に過ぎなかったスキピオが、悪魔のような強さを誇ったハンニバルから、どのようにローマを守るのかが気になります。それぞれの陣営から見た戦争の流れや政治闘争を、写実寄りの絵と史実に沿ったストーリーで見せてくれる歴史絵巻です。

こちらは戦国末期、天下征服を狙う秦に対抗しようと立ち上がった若者たちの物語です。荘子（そうし）の孫・荘 丹 (そう たん)は、大きなことを考えるのが好きで、巧な弁舌から大ボラの達人と呼ばれていました。 平穏な日常は突然攻めてきた敵国に破られてしまいます。親友を殺され故国を焼かれた荘 丹は、秦を倒せる達人たちを求めて旅に出ます。 風のように自由な荘 丹の生き方や、さまざまな技能を持つ達人たち、侠客や美女の躍動感あふれるドラマを楽しんでください。作者は『蒼天航路』の王 欣太(きんぐ ごんた)さんで、老荘思想を背景にしています。

『三国志演義』で有名な諸葛 孔明（しょかつ こうめい）の、奥さんを主人公にした四コママンガです。ラブコメ調なので、さらっと楽しみながら当時の生活や文化を学べます。 主人公の黄 月英（おう げつえい）は、学問や工作が得意で、家事全般は壊滅的、見た目に無頓着という変わり者でした。孔明に嫁ぐときも嫌々でしたが、月英を外見で判断せず、心優しい孔明の人柄に惹かれていきます。 三国時代の有名人も出てくるので、元ネタを知っていればより楽しめます。女性の視点から見た雌伏時代の孔明という、ほのぼのした作品です。

古代エジプトと現代を舞台に、3000年の時を越えて紡がれるラブロマンスです。16才のキャロル・リードは、エジプト留学中に王家の墓の呪いを受け、古代エジプトに連れ去られました。 ところが珍しい容姿や予言にも映る現代知識から、キャロルはエジプトを助ける“ナイルの娘”と慕われます。そして、その力を狙った各国の王族たちによって、争いに巻き込まれていくのでした。 エジプトの不器用なツンデレ王・メンフィスをはじめ、キャロルをめぐる個性的キャラたちのラブストーリーが見どころです。本作はなんと1976年から続く長期連載で、世代を越えたファンを増やし続けています。

歴史マンガを読めば遥かな時をさかのぼり、当時の暮らしや出来事を、生き生きとした姿で目の当たりにできます。長い歴史の中には、どうしようもない悲劇や絶望的な状況がたびたびありました。 自分なりのやり方で困難と向き合い、未来を作ろうと奮闘した人々の姿は、現代の私たちにも智慧や勇気を与えてくれるかもしれません。激動の時代を生きた彼らの道行きを、ぜひ見届けてください。