この国ではめずらしく漆黒の髪、瞳をしているリリーは「漆黒の魔女」と呼ばれ、あまり人と関わらなくてよいように人里離れて山に引きこもっていた。
ある日、山の中で傷だらけの銀髪の青年と遭遇した。
「…俺は……まだ、死ぬ、わけにはいかない……」とうわごとのように呟き、意識をなくした彼は、魔力回路をズタズタに引き裂かれていた。
その青年の命を助けるには、自分の命を引き換えに治療するか、自分と彼の魔力を繋げて魔力回路を修復する方法しかない。
魔力を繋げて治療する方法を選んだが、そのためには名も知らない青年と体を結ばなければならない。
処女でいることにこだわらない魔女リリーは、意識のない彼に媚薬を口移しで飲ませーー。
性的な行為の準備を知らないリリーは、治療をすすめそのまま意識をなくした。
翌朝、救助のためとはいえ、なんてことをしてしまったのかと自覚したリリーは、青年と一緒にいることが怖くなって近くの村に置き去りにしてしまった。
一方、助けられた青年は、隣国の騎士団に席を置いている国家魔術師のフロスト。命を助けてくれたのが「漆黒の魔女」だということを突き止める。
会ってお礼をするために手を尽くし、ようやく探し当てたリリーに門前払いを食らってしまってしまう。
どうしてももう一度会いたかったフロストは、ウィッグを被り、女装し魔女と姿を偽ってリリーのもとを訪れる……。