舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」日露戦争の足音が聞こえる激動の時代に、本と人との繋がりを見つめなおす。約6年ぶり、待望のシリーズ第3弾!【目次】探書拾参 史乗探書拾肆 統御探書拾伍 滑稽探書拾陸 幽冥探書拾漆 予兆探書拾捌 改良