ほんとうにうまい大根は、
「ほんとうに、うまいねえ」
むかし、三井老人が、よくいっていたものだ。(本文より)
四季折々の味を慈しみ、土地土地の食を堪能する、たべものエッセイの神髄。
幼き日の海苔弁当の思い出から時代劇の食べもの、卵のスケッチ、そして大根の滋味に目覚めるまで。あるいは東京下町から奥多摩、仙台、湯布院、さらにフランス、スペイン、インドネシアまで――。古今東西の味と人をめぐるおいしい話の数々を、時代小説の大家にして食エッセイの達人が味わい深く描く。
〈巻末対談〉荻昌弘×池波正太郎「すきやき」