わたしがお仕えするサタン様は類い希な美貌の持ち主だ。でも本来の力を失った今の外見は十歳くらいにしか見えない。なので、お風呂やお着替えを手伝うのもわたしの大事な役目である。サタン様がお一人で上手く洗髪できないのも乱暴に服を脱ぎ散らかすのもすぐに涙目になってしまうのも、全て『魔王』としての力を失っているからなのだ。そして、世界を手中に収める力を貯めるべく街で小さな悪事をコツコツと働いていると、愛沢という妙に気になる少年と遭遇した。最近にしては珍しい男気のある愛沢のことを探るため、わたしとサタン様は双子として晴嵐高校に転入することにしたのだが―。第14回電撃小説大賞最終選考に残った唯一のラブコメ、鮮烈デビュー。