愛なき情熱と知ったあとに、小さな命を身ごもった……。
二十歳のタリーはパーティで出会った美しきギリシア人男性に惹かれた。
海運王を父に持つ将来有望な投資家のプレイボーイ、サンダー。
タリーはといえば、古風な乳母に育てられ、恋愛経験は皆無だった。
このパーティには妹のつき添いとしてやってきたけれど、妹に使用人扱いされているような私を、サンダーはどう思うかしら?
彼の目はしかし、タリーを明らかに女性として賞賛しているようだ。
本当の相手が見つかるまでは独りでいいと考えていたけれど、胸が痛いほどのこの情熱を、今こそ解き放ってもいいのでは?
タリーは誘惑されるまま、サンダーに純潔を捧げた――まさにその瞬間、彼がはたと気づき、吐き捨てた。「初めてなのか? 何を企んでいる!」