もう一回言って? 俺のこと、好きって──
「誰でもいいなら、別に俺だっていいだろう?」
都会から地元に戻って半年、
祖父母の経営していた市川糸店を継いだ
市川春音には好きな人がいた。
おさななじみで今は人気木工作家の二ノ宮航輝だ。
中学生時代、「男のくせに兄貴のこと好きなの?」と
軽蔑されたように言われて以来、疎遠になっていた。
でも、春音の姉と航輝の兄が結婚したこともあり、
Uターンをきっかけに親しくつきあうようになっていた。
好きだという気持ちは隠したままで。
だけど、やさしくされるほど恋する想いは強まって……
おさななじみのすれ違いラブ!