あらすじ死にたいと本心から願う者など誰もいない。死者の姿を見、声を聞く力を持つぼくと彼女には、痛いほどそれがわかるんだ。ぼく・松実優作(まつみ・ゆうさく)が出会った少女は、事故で失った兄のあとを追おうとしている。ぼくの彼女・時野(ときの)ゆかりが見つけた死者は、残された息子の行く末を案じて青い河を渡れずにいた。生者が死者を慕う気持ち、死者が生者を想う気持ちを、ぼくたちは心の底からなんとかしたいと願い続ける――。