どうかおなかの子だけは愛して。たとえ私のことがわからなくなっても。
結婚半年の記念日の朝、サン・ヴィターノ王国の皇太子妃ルーナは、王家所有の金鉱視察に赴く夫リーニと別れのキスを交わした。昨夜、妊娠が判明し、彼女は幸せの絶頂にあった。夫が帰宅したら、この朗報を伝えて特別な日を祝おう……。だが彼は帰ってこなかった。地震による落盤事故に巻き込まれて。打ちひしがれながらもルーナは夫の死を受け入れ、気丈にもほかの犠牲者の弔問のため隣国まで足を延ばした。そして、奇跡が起きた。病院で治療中のリーニを発見したのだ。「君は誰だ? いったい僕は何者なんだ?」ルーナの喜びは一瞬で消えた。夫はすべての記憶を喪失していた。
■ハーレクイン・イマージュは、おかげさまで2700号を迎えました。長きにわたるご愛読に心より感謝を申し上げます。記念号として、イマージュの人気を牽引してきた大作家レベッカ・ウインターズが描く、夫婦の愛の絆とその結晶の物語をお贈りします。