女は弱い、けれども手綱をひいているのは女である。
性に対して女が孕んでいる矛盾を見事に炙り出して昇華させた作品だと思う。雄に求められなければ劣っているという雌の性。たとえそれが愛のないものであっても激しければ激しいほど身体が燃えてしまい、支配されていく女の性。
女の性は男の性と同じく、いやそれ以上に貪欲で、愚かなものなのかもしれない。
でも女の性は愛を内在しているから、呪縛されればされるほど、その営みの中に愛を見出そうとする。
この作品では、そんな絶望的な関係性のなかでひとつの命が宿り、母となったひとりの女性が変わることで周りの女性たちをも変え、救うことになった。
男と女の性は確かに違う。
ひとりの男を信じ、身体を許し委ねた末に至った状況が地獄なら、やっぱり男はその女を屈辱しているのだと思う。
昨今の性問題はここにあるのだろう。
女は弱い、けれども手綱をひいているのは女である。