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『あげくの果てのカノン』一途すぎる女と心変わりしてしまう男の不倫×SF。魅力や見所を編集部が紹介!

『あげくの果てのカノン』一途すぎる女と心変わりしてしまう男の不倫×SF。魅力や見所を編集部が紹介!

SF×不倫の異色の恋愛を描くのは、弱冠24歳の俊英、米代恭先生。 美大在学中に新人賞の佳作を受賞し、プロの漫画家としてデビューを果たした。 2018年1月にドラマ化された天堂きりん先生の「きみが心に棲みついた」や椎名うみ先生の「青野くんに触りたいから死にたい」が好きな人にオススメ。「恋とは何か」その根源を問い続け、全国の共感を集めた傑作の見どころと、個性豊かな登場人物の魅力を中心に紹介します。

2019/3/8更新 | by dokusho 編集部

  • あげくの果てのカノン 1
    あげくの果てのカノン 1

    『あげくの果てのカノン』とは?

    押見修造(漫画家)、驚嘆。
    志村貴子(漫画家)、恐怖。
    村田沙耶香(小説家)、絶賛。

    『月刊!スピリッツ』(小学館)において、2015年から2018年まで連載され、1巻発売直後売り切れ店続出、緊急重版した話題作。
    不倫という普遍的なテーマながら、SFの設定を加えたことで生まれる斬新な物語に、村田沙耶香先生や中村文則先生など芥川賞作家たちも賛辞を惜しまない。


    異星生物が襲来し、機能停止状態の東京を舞台に、一途すぎる恋をする主人公・高月かのん。 また彼女の思い人・境宗介はかのんの高校時代の先輩であり、アルバイト先のケーキ店で再会を果たす。再会した彼は異星生物駆除のヒーローであり、既婚者であった。
    先輩は他の人のものだから?この世界の英雄だから?
    道ならぬ恋、世界を壊す恋、そのたどり着く先をぜひご見届けてください。

    あらすじ

    近未来、異星生物「ゼリー」の侵略を受け、機能停止状態の東京が舞台。 高月カノン(こうづき かのん)、23歳。
    高校時代からストーカー的に想いを寄せる境宗介(さかい そうすけ)先輩と、 アルバイト先のケーキ屋で再会を果たす。

    宗介は高校卒業後、異星生物対策委員会 (SLC) という組織の戦闘員となり、「ゼリー」と戦う日々を送っていた。
    一方、かのんはフラれても宗介を思い続け、SLCの本部の近くにあるケーキ屋で働き始める。
    彼が近くで働いているのも、大の甘党なのも知っており、半年後無事再開を果たす。しかし告白してから8年の歳月が過ぎており、宗介は結婚していた。
    妻との間にすれ違いを感じていた宗介はかのんを求め、不倫関係へとおちいってゆく。

    登場人物・キャラクター

    高月 かのん(こうづき かのん)| 主人公

    23歳のフリーター。東京・永田町で、ケーキ屋のアルバイトを続けている。
    義理の母親と弟と同居中。黒髪の長髪、黒ぶちメガネをかけた地味な外見。

    高校生の時、先輩である境宗介を猛烈に好きになって、告白したが振られた。
    その後8年間、宗介への思いを断ち切ることができず、彼氏をつくることもなく暮らしていた。
    ある日偶然彼の職場近くのケーキ屋から宗介が出てくるところを目撃。この店で働けばいつかまた会えるかも…と期待し、アルバイトを始めた。

    地味で挙動不審なところがあり、かつ内向的で自虐的な性格。
    初めて好きになった宗介への思いは狂信的であり、会えない8年間を「私はまるで生きている意味がない」「今日もまた神様を待っている」と考えるほどである。
    想うだけだはなく、盗撮や録音、宗介が使用した紙コップや紙ナプキンをコレクションするなどストーカーじみた行動をとる。

    境 宗介(さかい そうすけ)

    かのんの先輩であり想い人、SLCの戦闘員。甘いものが好き。
    高校生のころからバスケ部の花形で、優しい性格かつイケメンであり、大勢のファンがいた。

    卒業後SLCの養成機関へ進み、現在は特務部隊に勤務してゼリーの駆除を行なっている。
    危険な任務であり、人類を救う英雄としてマスコミに扱われる。また彼の妻も優秀な研究者であり、若く美形な二人は世間的に有名な夫婦である。

    一方でゼリーとの戦いで負傷し、しばしば「修繕」を受けているが、この「修繕」によって性格や嗜好が変化してしまう。
    「心変わり」に苦悩を抱えている中、以前の自分を記憶し続けてくれているかのんと再会し、彼女に魅かれてゆく。

    高月 ヒロ(こうづき ひろ)

    高月かのんの弟、高校生。彼女の相談相手。
    二人は直接の血縁関係はなく、血の繋がらない姉のことを愛している。

    内向的なかのんにとって、心中を打ち明けられる数少ない相手であるため、かのんが境宗介のことをずっと好きでいることも知っている。
    彼女のストーカーじみた恋に引きつつ、制止する場面がしばしば見受けられる。本心ではかのんが宗介に思いを寄せるよりずっと前から彼女を見守り、好意を寄せていたのではないだろうか。

    境 初穂

    境宗介の妻、SLCの研究員。旧姓は前園。
    SLC養成機関で宗介と出会って結婚した。ゼリー細胞移植による人間の「心変わり」を止める研究を続けている。
    「修繕」が続くことにより変わってゆく夫に苦悩し、彼が変わることを許せない。宗介がかのんに魅かれているのを知り、高月かのんの働くケーキ屋に現れた。

    ゼリー

    地球に襲来した異星生物の通称。半透明でクラゲのような外見。
    十年以上前に突然地球に現れ、世界各地で繁殖し、人類の脅威となっている。 心臓部を破壊すると、活動を止めることができるが殺傷能力が高く、特務部隊を日々死傷させている。
    ゼリーの存在する地域には雨が降り続き、その雨により増え続ける。

    SLC

    「異星生物対策委員会」の略称。宗介と初穂が所属している。
    襲来したゼリーの駆除活動や生態研究を行なっている組織。

    修繕

    SLCが開発した研究の成果。
    適正者の人体にゼリーの細胞を移植することにより、欠損部を再生させることができる。ゼリーとの戦闘によって負傷した隊員は、この技術によって回復できる。
    しかし「修繕」後後遺症として、性格や嗜好が以前と変わってしまう現象が起きる。
    「心変わり」と呼れるその現象は本人も周りの人も苦しめている。

    見どころ

    (1)重たすぎる恋

    これは犯罪だろう…と言いたくなるような先輩への執着っぷり。気持ち悪いのに一生懸命すぎてかわいいと思えてくるのがこの作品のすごさの一つ。

    (2)妻・初穂の葛藤

    宗介の妻初穂が初めてかのんを訪ねてきたシーン。
    二人の関係に気づき、くぎを刺しに来ただけではなく、今後の展開への重要な伏線となる。 聡明で努力家の初穂が、変わりゆく夫を止めるため研究に勤しむのだが、そのことがより一層夫婦をすれ違わせてゆく。
    かのんの目線から見るとこの上なく怖い女性であるが、強さの内側に健気で、宗介への深い愛情を抱えている。

    (3)かのんの葛藤

    宗介へ妄信的な想いを寄せるかのんだが、不倫に対する世間の目は冷ややか。
    ましてや相手は世界を救う英雄であり、自分の不倫が相手の家庭だけでなく、様々な人の幸せを壊していく。


    こんな世界を望んでいたんだっけ。 温かく受け入れてくれたお父さん、お母さん、弟、友達。 私を受け入れてくれたすべてのやさしい人たちを、巻き込み奪い傷つけ、 中毒のような恋で私が壊した。

    (4)周囲の葛藤

    宗介を想うと危険だろうが、周囲にばれそうになろうが体が動いてしまうかのん。
    ストーカーじみた行動を周囲に悪く言われようとも、宗介本人に拒絶されない限り貫く。 ゼリー襲来時でも宗介で頭がいっぱいになり危険を顧みない。間一髪のところでかのんを静止した母を邪魔扱いし、あげく不倫を告白する。
    ゼリー襲来によって、かのんの両親は彼女が小学生の時に死去、遠い親戚であるヒロの両親に引き取られた。彼女の幸せを祈りつつも、道ならぬ恋から抜け出せない彼女を受け入れられない周囲の葛藤。

    メディア情報・賞歴

    全国書店員が選んだおすすめコミック2018 一般部門 15位

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。狂信的な恋、不倫というテーマがSFと結びつくことで世界を壊す恋に発展する本作。
    内向的で自虐的で、それでいて先輩以外には無神経で無頓着。幸せと絶望の板挟みに遭うかのんを見ていると、イライラしたり応援したくなったり、ちょっと羨ましくなったりと目が離せません。
    世界を壊す恋の暴走が、あげくの果てにたどり着いた先をぜひ見届けて下さい。

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    それだけのことだ。
    ――橋口亮輔

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    あらすじ
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