「デイジー・ラック」「豚飼い王子と100回のキス」等を描く、海野つなみ先生による傑作女性漫画。 「触られるのが嫌な相手でなければ一緒に暮らせるのではないか」という考えがきっかけで、描いた「契約結婚」がテーマのラブコメディです。 様々な男女間の社会問題を織り交ぜており、見応えたっぷり! 第39回講談社漫画賞・少女部門受賞を受賞、2016年にはドラマ化もされ話題となった、本作の見どころを一挙ご紹介!
『逃げるは恥だが役に立つ』とは
大学院を出ながらも就職難で派遣社員になった森山みくり(25歳)と、 SEで高齢童貞、かつ「プロの独身」の津崎平匡(36歳)による、 「雇用主と従業員」の関係から始まる、契約結婚の物語。 就職が決まらないみくりと、独身のデメリットが気になる平匡さんの 利害が一致した結果、契約を結ぶことになるのです。 「王様に捧ぐ薬指」「姉の結婚」など、 結婚をテーマに、男女の不器用でムズムズする恋愛模様を描いた漫画が好きな方にオススメ! ちなみに、タイトルの『逃げるは恥だが役に立つ』は、ハンガリーのことわざの和訳で「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」の意味のようです。
あらすじ
森山みくり(25歳)、彼氏なし。院卒だけど内定ゼロ、派遣社員になるも派遣切り、ただいま求職中。見かねた父親のはからいで、独身の会社員・津崎平匡(36歳)の家事代行として週1で働き始める。両者ともに快適な関係を築いたふたりだが、みくりが実家の事情から辞めることに。現状を維持したい彼らが出した結論は、就職としての結婚――契約結婚だった!ひとつ屋根の下、秘密と妄想(?)の生活が始まる……!
キラキラと輝く登場人物たち
主人公:森山 みくり(もりやま みくり)
自分の現状を「徹子の部屋」や「情熱大陸」などテレビ番組風に妄想する癖がある、25歳。 就職活動で内定が貰えず就職浪人の道を選び大学院へ進学し、 大学院で臨床心理士の資格を取得したにも関わらず、就職活動は、再び全滅してしまった。 その後、派遣社員になるが、派遣切りにあってしまう。 求職中の娘を見かねた父に紹介されたのをきっかけに、父の元部下の津崎平匡の家政婦として働くことになる。 同居していた両親の引っ越しを機に津崎平匡の家事代行は終了となるところだったが、彼と話し合いを重ねた結果、引き続き家政婦として「雇用」が決定。 上司と部下という関係で津崎平匡の家に住み込む「契約結婚」の道を選ぶことになる。 交際していた男性に「小賢しい」と批判されてから、 自分をことをそう自覚しており、そのことが様々な面でのトラウマとなっている。
津崎 平匡(つざき ひらまさ)
36歳の、一見クールなメガネをかけた男性。 森山みくりの父の元部下で、京都大学卒業のシステムエンジニアである。 一度も女性と付き合ったことが無く、生粋の草食系で「プロ独身」を自認している。 みくりの父に、求職中のみくりを強引に押し付けられ、家事代行を頼むようになる。 距離も適度に保ちつつ、仕事を真面目にこなし、また高熱の時には看病してくれたみくりを信頼するようになる。 ただ、信頼しつつも、あくまで雇い主として一線を引くように心がけている。 その後彼女から「契約結婚」の申し出を受け、話し合いの末に住み込みの家政婦として「雇用」するになった。 彼女が住民票を移して事実婚の形を取り、表向きには結婚したことにしたため、 会社の同僚や、森山みくりの伯母など、知人達の目をごまかすために苦労を重ねる結果に…。
土屋 百合(つちや ゆり)
ベテランキャリアウーマンで、52歳。 みくりの母・森山桜の姉だが、森山みくりからは「百合ちゃん」と呼ばれている。 化粧品会社に勤務し、仕事はやり手だが結婚に対して否定と憧れの入り混じった複雑な感情を抱いている。 みくりとは友達でもあり、母でもある関係で、よく一緒に食事をしたり飲みに出かけたりしている。
風見 亮太(かざみ りょうた)
津崎平匡の同僚で、パーマをかけた背の高い、28歳のイケメン男性。 豊富な話題とそつのない振る舞いで、異性にはモテるが、女性から反感をかうことも多い。 一般的な結婚にメリットを感じられず、既婚者となった津崎平匡や妻子持ちの同僚に、 結婚生活についてあれこれ聞いている。 自分の理想とする結婚の姿が、 津崎平匡と森山みくりの結婚生活であることにたどり着く。 その後津崎平匡に迫ってみくりに自分の家の家事代行も頼むようになり、みくりの伯母、土屋百合に新居を世話してもらう。 大家代理となった土屋百合とも一緒に食事をしたり、メールを交わす仲に。
沼田(ぬまた)
津崎の同僚で、ゲイを感じさせる行動をよくする。 風見と共に新婚の津崎家を訪問した際、こっそり覗いた寝室がシングルベッドだったことから津崎とみくりの関係を疑うようになる。
見どころ
【1】みくりの妄想劇場が面白い!
自分の現状を「徹子の部屋」や「情熱大陸」風に、 またはインタビューを受けている感じで妄想するシーンがすごくおもしろい! 漫画読みながらクスって笑ってしまいます。
【2】むずキュンな恋愛
森山みくりと津崎平匡はお互い恋愛経験が多いわけではない。 そんな二人が一つ屋根の下に暮らし出したら、 お互いを男女として意識しないわけにはいかないですよね。 ましてや、【ハグの日】など恋人感を出そうと距離感を縮めれば尚更です。 最初は仕事として割り切ろうとするものの、徐々に恋愛感情が芽生え出します。 ただ、恋愛のスピードはゆっくりめ。 でも、それがいいのです。 駆け引きとか、心の中の葛藤とか、共感が止まりません!
【3】みくりと津崎の結婚観
結婚は「相手への好意」だけで結ばれている契約で、 そこに金銭的なやり取りを挟まないからこそ「不安定な関係」と言えます。 主婦業を仕事として割り切ることにみくりは罪悪感を感じているが、 どうしても二人の関係の始まりが、「家事代行サービス」で始まってるので、 「相応の見返り(働いた分だけのお給料)」を津崎に求めてしまうです。 世間的にタダ働きの主婦業を「正当な対価をもらうべき仕事」という考えで捉えています。 しかし、一方、自分の手料理に対する「感謝(評価や意見)」も無意識的に津崎に求めてしまう節が…。仕事として割り切れば尚更不必要なものですが、どうしても「女性的な部分」も確実に存在してしまうのです。
メディア情報
▼TVドラマ
2016年10月11日から12月20日までTBS系「火曜ドラマ」で放送された。新垣結衣と星野源がメインキャスト。エンディングでは、出演者らが主題歌「恋」のPVのダンスを踊っており、一大ブームとなった。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 この漫画は、結婚や今後の生き方について考えたい女性、 異性とのリアルな会話や心理状態を参考にしたい人、 細かい設定の妄想が好きな人におすすめです。 最初の巻の方では恋愛要素がけっこう少なめですが、第4巻ぐらいから徐々に多くなっていきます。しかし、少女漫画のような、キラキラした恋愛ではなく、男性でも読みやすい爽やかな恋愛描写なので、男女ともに楽しめるでしょう。 なにより、みくりと津崎の会話と本音、考えていることがとても細かく描かれているので、恋愛や人間関係に悩んでいるときに参考してみてください。