80年代に一世を風靡し、累計発行部数4,000万部超えの伝説のツッパリ漫画「今日から俺は!!」。2018年10月にテレビドラマ化し、主演の賀来賢人さんは「第99回ドラマアカデミー賞」主演男優賞受賞。 ギャグのテンポが独特で「天使な小生意気 」や「お茶にごす。」など、西森博之作品にハズレ無しと言わしめるほど、唯一無二のギャグ漫画家である。本作の魅力を登場人物と名シーンを中心にご紹介します。
『今日から俺は!!』とは?
千葉の最強コンビ「金髪の三橋、トンガリの伊藤」が、ケンカと笑いに溢れた学園生活を謳歌していく様子を描いたコメディ漫画。 普通の高校生活が自分にふさわしくないと感じていた三橋貴志は転校を機に髪を金髪にし、時を同じくして伊藤真司もまた転校を機に、髪を上にとんがらせたトゲ頭で不良デビュー(今日からツッパリ)。 性格は真逆な二人がおちょくり合い、ケンカしながらも本当は誰よりも尊敬し、信頼し合っているシーンは感涙もの。 ギャグありシリアスありの作風は、空知英秋先生の「銀魂」や市川マサ先生の「A-BOUT!」、あだち充先生や高橋留美子先生好きにもオススメ。 ヤンキー漫画にしては珍しくエロやエグイ表現がほとんどなく、登場人物のやりとりも見ていて微笑ましくなるような物が多いため、女性でも楽しめる作品です。
あらすじ
「この転校をキッカケに俺は・・・」今までさえなかった三橋は目立ちたい一心で金髪パーマでツッパリデビュー!そんな三橋の前にもう一人の転校生、トンガリ頭にマスクでキメた伊藤が現れて・・・・・・。 一緒のクラスへ同時に転入した2人は、校内の不良や街のチンピラなど共通の敵を退けていくうちに意気投合。金髪とトンガリ頭の最強ツッパリコンビが繰り広げる青春不良コメディ!
登場人物・キャラクター
三橋 貴志(みつはし たかし) | 主人公
軟葉高校の生徒で自称・総番、身長181cm。パーマをかけた金髪がトレードマーク。 それまではごく平凡な学生生活を送っていたが、高校1年の時の転校をきっかけに今日からツッパる(当初はツッパリを怖がっていた)。 持ち前の運動神経の良さに加え、頭の回転(悪知恵)が非常に速く、用意周到であったり突発的な発想で窮地を切り抜ける。 自由奔放の超わがままでお金に汚く、「相手に自分より不愉快な思いをさせること」を勝利条件とし、決して復讐を忘れない。金髪の悪魔と恐れられ、その噂は千葉全土に広まった。 同級生の赤坂理子とは、お互いに悪しからず思う仲であり、彼女に害をなす者を決して許さない。
伊藤 真司(いとう しんじ)| 主人公
軟葉高校の生徒、身長180cm。髪を逆立てたトンガリ頭がトレードマーク(髪も含めると205cm)。 曲がったことが大嫌いな「漢」であり、生真面目で義理堅く、正義感が強い。 入学直後、ケンカに対する姿勢から三橋とは一度袂を分かつが、彼がこっそり自分を助けていたことを知り、和解。以降は無二の親友となる。 三橋と同様、伊藤も特に体を鍛えてはいないのだが、持ち前の運動神経と人一倍ある体力と根性によって、三橋に決して劣らない腕っぷしを持つ。 性格的には三橋とあらゆる意味で対照的だが、実は根の部分が似ており、たまに彼と一緒になって悪ふざけをすることがある。 元ツッパリの早川京子とはプラトニックな恋人関係である。
赤坂理子(あかさか りこ)
軟葉高校の生徒、ヒロイン。三橋にチンチクリンと呼ばれる。 三橋に不良から助けられた事で彼に惚れて軟葉高校に編入し、二人のクラスメートとなる。赤坂流道場の娘。本人も武道の心得があり、開久高校の相良を投げ飛ばしたこともある。 ギャグをスベらかした伊藤をポイ捨てしたり、谷川睨んでビビらせたり、高崎(軟高のイケメン)の学ランの袖を縫い付けて腕が出ないようにしたり、縛られて動けない三橋にイタズラしたりと、自由な女の子だったりする。 三橋をたしなめられる数少ない人物であり、お互いに悪しからず思う仲。
早川京子(はやかわ きょうこ)
青蘭女子の生徒、元ヤンキーで女番長。もう一人のヒロイン、愛称京ちゃん。 学校の正門前で嫌がらせをする不良たちを追っ払ってもらうため、軟葉高校の三橋貴志を訪問。結果的に、相棒である伊藤真司の男気に惚れ込んで交際を開始する。伊藤に言われてから禁煙を始め、不良もやめている。 美人で外見的には理子と対になるようなタイプ、キレると怖い。伊藤の髪がヤクザによりカッパになった際にも、見てくれに惑わされないカッコいい女である。
今井勝俊(いまい かつとし)
紅羽高校の大番長、(自称)身長192cm。馬鹿力。 喧嘩は強いが要領が悪く、軟葉高校の三橋貴志より卑怯であることを目指す熱血漢だが、実力では自分が勝っている相手にも不意打ちや騙しなどでよく倒される。 三橋と伊藤からは「バカ」「ウマ」「ロバ」だの散々な言われよう。 また父親の髪が薄いため、将来ハゲないかと心配している。 そこそこ男前なのだが、モテないことに悩んでいる。理子に告白したり、小山に女を紹介してもらったり、軽井沢で色んなお姉さんと仲良くなったり。しかし例によって全滅。 26巻にて涼子が出現するまで不毛な高校生活を送るのだった。
谷川安夫(たにがわ やすお)
紅羽高校の生徒、身長158センチ。今井の子分。 番長である今井勝俊のことを尊敬しており、いつも行動をともにしている。損な役割の多い今井のとばっちりを受けることも多い。 ケンカは自ら認めるほど弱いが、どんな強い相手でもタメ口をきける度胸を持つ。本当の意味で怒らせるとその三橋すらビビらせるほどの迫力を発するようになる。 女にモテない。
中野誠(なかの まこと)
紅羽高校の生徒、タレ目で根暗な茨城県民。 京都での修学旅行で三橋&伊藤と揉めた男。その後ヤクザ息子との喧嘩がきっかけで地元を捨て千葉に引っ越してくる。 喧嘩の腕は三橋や伊藤にも劣らず、パンチやフットワーク・スピードなら三橋とも互角。 あまり感情を表に出さないクールな男だが、熱い一面もある。後に三橋とのトランプ勝負の結果、成り行きで犬を飼うことになっている。
片桐智司(かたぎり さとし)
開久高校の生徒、極悪最凶の番長。三橋達より一歳年上。 軽くメンチを切っただけのチンピラ複数を即日全員整形外科送りにするなど、中学時代から悪名を轟かせていた。 実力は三橋と拮抗、紅羽高校の今井でさえ一撃で倒すほどのパンチ力を誇る。また非常に硬派な性格であり、味方に騙されて伊藤とタイマンを張るも和解し、弱った状態の伊藤を開久高校の末永達から身を挺して守っている。 開久高校を卒業後はプー太郎であったが、屋台のたこやき屋となり、『お茶にごす。』第6巻にたこ焼き屋として登場している。
相良猛(さがら たけし)
開久高校の生徒、開久のNo.2。「狂犬相良」の通り名で一際恐れられる。 中学時代に少し絡んで来ただけの相手を道路へ蹴り出し、車にハネさせたエピソードを持つ。「ケンカの恐ろしさは片桐より上」とまで言わしめる男。 勝つためにはどんな汚い手でも使う。理子を追い詰め、良と今井を容赦なく叩きのめし、伊藤も苦戦させたが、仲間をやられて本気でキレた三橋に完膚なきまでにやられる。 後日、復讐のために三橋たちの前に姿を現す。
その他軟葉高校の面々
佐川直也(さがわ なおや) 伊沢圭一(いざわ けいいち) 榊原雄一(さかきばら ゆういち)など
主観入りまくりの神回
5位:あいつはアレでいいんだよ 14巻
お人よしの伊藤。もともと悪で卑怯者だろうが、三橋と対立しようが、こんなコウモリみたいな悪人面を信用し続ける。 そんな甘いところを突かれ騙されている伊藤。長井(左の悪人面)が伊藤をバカにした際に三橋が怒ったセリフ。 ユカイだったろ長井、伊藤の野郎はよ、おもしれーくれーカンタンに人信用しちゃってよ。 世の中頭のいい奴が勝ち、ダマされる奴がバカ、まったくその通りだぜ。…
バカにしてんじゃね――!!あいつはアレでいいんだよ。 陰で聞いてた伊藤は泣いて情けない顔になってしばらく出てこれなかった。読んでるこちらも喉の奥が痛くなった感動のシーンです。
4位 今井は叫んだ 7巻
中学生(雄一)との対決編。 最初は大人ぶって相手しないようにしてたが雄一の罠により深い落とし穴に落ちてしまった三橋、伊藤、今井の3人。 上から小便をかけられ、キレた3人は一致団結して脱出するシーン。なぜか今井の不幸は全力で笑えてしまう、不思議である。
3位 ホンモノの友情とは 35巻
本気の殴り合いをしたのはこの回が最初で最後。最強コンビにやっかみ、仲を壊そうと画策する敵の罠にはまった三橋と伊藤。 お互いに事情を他言できないよう仕向けられ、真実を告げられないまま、ついにはケンカが始まってしまうことに。 自分がしようとしていることは正しいことのはず・・。だが、きっと伊藤がしようとしていることもまた正しいのかもしれない。二人の選んだ結末に胸が熱くなる名シーンです。
2位 今井廃ビル監禁事件 15巻
やられたらやり返す男・三橋 貴志。 最強と言われる彼だが、今井と谷川にはめられ、散々な目にあわされたのが事の発端。 高度で持続的な仕返しの数々は他に類を見ない。
1位 ピンチ…なんだぜ、アイツが。 38巻
因縁の相手、相良との最終対決。 仲間はやられ、理子も捕まり助けに向かうが、途中相良に車で引かれた三橋・伊藤・中野。 三橋を捉え、目の前で理子の顔にやけどを負わせようとする絶体絶命のシーン。
一方伊藤は車にひかれた後意識を失いっていたが、ボロボロの体のまま三橋を助けようと立ち上がる。 『今日から俺は!!』を読んだ人であれば、全員が名シーンのひとつに挙げる場面なのではないだろうか。またいつも淡白な中野が、最高にアツい一面を見せてくれるのもこの回である。
メディア情報
映画
1993年1月8日放送。(Vシネマ)
ドラマ
2018年10月14日から 12月16日まで放送。 主演は賀来賢人、日本テレビ系『日曜ドラマ』。 主題歌(OPタイトルバック)は「男の勲章」で今日俺バンドによるカバー曲。 ドラマはゲストとして小栗旬、堤真一、山田孝之、島崎遥香等、過去の福田作品に出演経験のある俳優が出演。
まとめ
いかがでしたでしょうか。見どころも本当はギャグ編・バトル編・小ネタ編×5シーンずつにしたかったのですが、そんなに書いても誰も読んでくれないでしょうから断念しました。 巻数が長く、ヤンキーものか…と思われなかなか友人に勧めても読んでもらえなかったのですが、最初の巻から読まなくても楽しく読める作品だと思います。 原作ファンもドラマファンも、もう一回見たいなと思えるような紹介ページになれていたら幸いです。